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印鑑が遺言状の決め手

印鑑の押されていない遺言状は原則無効です。
遺言状に押した印鑑での凡例を紹介します。


① 遺言状の署名の下に印鑑が押してありませんでした。しかし、遺言状に添付されていた「財産書」には印鑑が押してあり「財産書」を入れた封筒の裏には封印が押してありました。

② 遺言状の署名の下に印鑑が押してありませんでした。しかし、遺言状を入れた封筒の裏面には印鑑が押してありました。


①②共に遺言状の署名の下に印鑑が押されていなかったので同じようですが、裁判所では①は無効、②は有効としました。
②の場合は封筒も遺言状の一部と判断され、そこに印鑑が押してあったので有効とされたようです。

2009年11月27日

示談書に押した印鑑

「示談書に印鑑を押した」、「示談ですませた」という会話は良くお聞きになると思います。
なにかのトラブルの解決に、多く使用される方法です。
しかし、実際に示談書へ印鑑を押す当事者になったとき、内容を良く確認せずに印鑑を押してはいないでしょうか?

今回は、示談書に押す印鑑についてお話しします。


交通事故の損害賠償で示談書を用いることがよくありますが、示談書に印鑑を押し示談成立後に、後遺症が出た場合に治療費などが示談金では支払えなくなり、ふたたびトラブルになったという例はよくある話です。
このようなトラブルが良く聞かれるのは、示談書に印鑑を押すという行為がどのような意味をもつのか、正確に把握していないために起こる出来事です。

「示談屋」に言いくるめられないように
一般的な「示談」とは、民法が定める「和解契約」です。加害者側と被害者側が話し合い、加害者が一定の賠償金(示談金)を支払い、被害者側はその支払いで納得して、それ以上の請求をしない事を両者で約束して、トラブル解決とするのもです。
示談を用いる理由として、裁判では時間とお金がかかる、保険金の支払いにを受けるために示談成立を行なう必要があるなどがあげられます。
示談は両者にとって、納得のいくものでなくてはなりません。
しかし、現在行なわれている示談の中には、「示談屋」と呼ばれる示談交渉専門の法律知識に詳しい人に、不当な結果を押しつけられ、示談書に印鑑を押してしまい、泣き寝入りをしなくてはならない場合もあるようです。また一般的に事故の被害者となった場合、加害者の代理人で保険会社の方との話し合いになる場合が多いです。保険会社の方が不当な条件を押しつけるとは考えにくいですが、相手は事故処理の専門家ですので、用心に越した事はありません。
示談書に署名と印鑑の捺印をする際には十分な注意が必要です。

示談書の作り方とポイント
示談書の用紙には、保険会社所定のもの、警察署で使用しているものなどがありますが、特にこれでなくては、と言うものは決まっていません。

通常、示談書には

  1. 当事者氏名
  2. 事故の月日
  3. 事故の場所
  4. 事故の状況
  5. 示談の条件(金額、支払い方法など)
  6. 示談書の作成年月日
などを記載します。
5.の条件は被害者側として最も慎重に検討しなければならない事項です。
○○日までに示談を成立しなければならないと言う理由は被害者側には無いので、十分に時間をかけて考えるべきです。判断が付かない場合は、弁護士などの専門家に相談をしましょう。
被害者側が、当座の生活費に困るのであれば、「自賠責保険の仮払い」という制度を利用することもできます。

示談後に後遺症が出た場合
たいてい示談書には
「今後本件に関して、いかなる場合においても、両者は相手方にたいして、意義、請求はもちろん訴訟等いっさいいたしません」
というような事が記されています。示談書によってトラブルを終わらせる事が目的ですので、当然のことです。この条項からいくと、示談成立後に後遺症が出た場合でも請求はできない事になってしまいます。
しかし、裁判所では後遺症のための追加請求をする際の要件として
  1. 全被害を正確に把握しがたい状況(完治していない状況)
  2. 早急に行なわれた場合
  3. 少額の賠償金をもって納得された示談の場合
  4. 示談当時予測できなかった不足の再手術や後遺症が起こった場合
は、追加請求を認めることになっています。
実際に追加請求をするためには、裁判を起こさなくてはならなく、上記の四つの条件を満たしているのかなど、問題がおこりますので、被害者側に立った場合でも、簡単に追加請求ができるとは考えない方がよいでしょう。また保険会社方が代理人として交渉してくる場合、完治後に示談書への印鑑捺印を求めてくる事がほとんどです。上記の四つの条件に満たない場合での示談が多いでしょう。
したがって、示談書には「示談当時までの損害について示談する」の条項を入れておくことが安全でしょう。

強迫されて同意した示談は無効
一度取り決めたことをくつがえし、こちらが有利などと認めてしまうと示談をする意味が無くなってしまうので、示談は原則、成立してしまうと、簡単には変えることができませんが、
相手の強迫や暴力などで、無理矢理にさせられた示談は契約者の意志によって行なわれたものではないので無効になります。強制を行なった相手がそれを認めると示談のやり直しができます。
また、強制をおこなった相手であれば、裁判によって賠償金を請求することもできます。
しかし、相手の強制を立証することは困難なので、うかつに示談書に印鑑を押すことは避けなくてはなりません。











2009年11月24日

土地・建物の売買契約に印鑑を捺印する前に

数日間にわたり、土地・建物を購入する際のチェックする事柄を紹介してきました。
チェックする事柄は売買契約書に印鑑を捺印する前に、調べておいた方がよいといいう目安です。印鑑を押すことは、いつでもできることですので、購入する土地・建物について十分に納得するまでは、物件購入に対して知識を身につけるようにしましょう。



知識を身につけ物件に対して納得し、売買契約を結ぶ段階になった時、残すは印鑑を押すのみです。しかし、このときに気を抜いてはいけません。印鑑を捺印する前に、もう一度契約事項を良く読み返しましょう。とくに市販の契約書を使用する際には、そのままでは不利な結果になる事項も書き込まれている事もあります。じっくりと検討してから、印鑑を捺印しましょう。

契約書に形式は自由ですが、契約書には次の事項を入れておく方が良いでしょう。

① 目的物の特定(所在地・地積・家屋番号・構造など)
② 金額、支払い方法、支払時期
③ 所有権の移転登記の時期
④ 不動産の引き渡し時期
⑤ 危険負担
⑥ 瑕疵担保責任 瑕疵・・・物件に対して一般的に備わっている機能が無いこと


契約書は、印紙税を節約するために一通しか作成しないということもありますが、最低二通作成しておいて、売り主と買い主で一通づつ持つ方がよいでしょう。

何度も紹介していますが「印鑑は最後まで押さない」のが鉄則です。

2009年9月16日

マンションを購入する際の注意事項

新築の場合、青写真の段階であったり、モデルルームやパンフッレットを検討して、契約書に署名と印鑑捺印をして契約することになりますが、建築中の建物をみても素人には、手抜きがあるかなどはわかりにくいため、販売会社や工事業者を選ばなければなりません。


マンションの居住性は管理の良否に左右される部分が多いので、管理業務がどうなるか調査するのも重要なポイントです。中古マンションを購入する際は、住んでいる人に居住性について聞いてみるのも良いかも知れません。

住居専用マンションが、商店や事務所などと同居のマンションかも自身の使用目的に照らし合わせて検討すべきです。商店付きのマンションというと、一見便利なようですが、深夜まで営業している店舗などが入居していることもあり、騒音等の難点もあります。

印鑑を捺印して契約を済ます前に調べておきましょう。

2009年9月11日

借地上の建物を購入するときの注意事項

建物を土地つきで購入する場合以外は、建物のために敷地利用権を取得しておかなくてはならないので、地主とのあいだに借地契約を結ぶ必要があります。



建物の売り主が地主である場合は問題ありませんが、借地人の建物である場合は、借地権の譲渡あるいは転貸しの契約が必要になります。
地主の承諾なしに借地権を譲渡あるいは転貸しすると、場合によっては地主に借地契約の解除され、明け渡しを求められることもありますので、必ず地主の承諾を得ておきましょう。地主が承諾しない場合、借地人が裁判所に申し立てると「承諾にかわる許可の裁判」をしてくれます。
未登記の建物を買う場合でその建物が借地上にある場合は、建物の登記を先に済ませておかないと、買い主は地主に対して自分の借地権を主張できなくなってしまいます。

2009年9月 2日

建物を購入する際の注意事項

建物を購入する際の注意事項です。登記簿の作成や移転登記には必ず印鑑が必要になります。未登録の建物を買う場合と登録済みの建物を買う場合についての注意事項を紹介します。


① 未登録の建物を買う場合
建物がまったくの未登録で登記簿が作成されていない場合は、買い主が移転登記にかえて、保存登記ができます。
建て売りの住宅では、保存登記の方が移転登記より登録税が安いので、未登録のままにしてある場合もあります。
買い主の立場からすると、所有権者がだれであるか、家屋の構造、面積、その他を証明する物がないので、売り主のいうことが真実かを調べなくてはなりません。また、買い主は表示の登記をした後に、自分を所有者とする所有権保存登記をします。表示の登記に自己または被相続人が所有者として記載されている場合は、所有権保存登記ができます。表示の登記申請には、譲渡証書、建築確認通知書、建築の検査済証を添付する必要がありますので、売り主から取得しておきましょう。

② 登録済みの建物を買う場合
建物の表示登記が済んでいる場合は、所在地、家屋番号、種類、構造、床面積を知ることができますので、購入する建物が一致しているかを確かめます。表示の登記に記載されている所有者が売り主ですので、保存登記を売り主に行なってもらった後に売り主から所有権移転登記をします。

2009年8月28日

土地を買うときの注意事項

建物を建設する目的で土地を購入する際、契約書に印鑑を捺印する前に特に注意をしなければ行けない事項をあげます。


Ⅰ 農地を購入する場合

登記簿上の地目が農地(田・畑・牧野となっている土地)は購入してもすぐに建物を建設することはできません。宅地への転用手続きが必要です。
転用手続きは、売り手買い手の双方が都道府県知事に申請し、転用の許可を得なくてはなりません。また、申請をしたからと言って必ず転用の許可がおりるとは限りません。転用の許可がおりるかや手続きについては、その土地の農業委員会に問い合わせをします。農地の無断転用は、農地法によって無効になり、土地の所有権は取得できなくなります。
土地の売買契約書にも「売り手が転用許可申請への協力をしない場合は契約解除ができる」という事項を入れておくとよいでしょう。


Ⅱ 分譲地を購入する場合

土地の権利関係については造成会社が所有権者ではなく、地主が所有権者のままということもありますので、所有権移転登記がすぐにできるか、分筆(一箇所の土地をいくつかの土地に分割して法的に登記すること)が済んでいるか、などを図面などで確認します。
また、造形工事・電気・ガス・水道・道路などの施設関係の工事についても調査をします。造形工事は、宅地造成等規制法、宅地造成事業に関する法律により規制されています。道路については建築基準法で「建物の敷地は道路に2m以上接していなくてはならない」という規定があります。電気・ガス・水道については、実際に使用可能かを電気会社、ガス会社、水道局に確認しておきましょう。

2009年8月26日

不動産売買のトラブルを防ぐ

土地や家を買うという事は、一生に何度もある事ではありません。土地や家を購入するために、退職金を当てにしたり、長期にわたってのローンを利用したりします。ですので、不動産の売買契約書に印鑑を捺印するまでに、念入りに事前の調査をしっかりとする必要があります。印鑑を捺印してしまってから「調査不足で話が違った」といって、トラブルに巻き込まれる前に、調べるべき事柄がいくつかあります。


Ⅰ 売り主が物件の所有者であるか
売り主と称する人が、常に本当の所有者であるとはかぎりません。もし本当の所有者ではない人から購入しても、所有権を取得することはできませんので、十分に調査が必要です。
そのために、売り主に最新の登記簿謄本を持参させます。登記簿謄本の最終ぺージに記載されている日付が古いものであれば、その後に所有者が変わっている可能性もあります。
登記簿謄本は、その物件がある場所を担当している法務局の支局や出張所に行き、一定の手数料を支払えば誰でも閲覧したり、謄本を取得したりすることができます。所有者が誰であるか判断でき、売り主がその物件の所有者であるか判断ができます。
登記簿は、真実の権利関係をあらわしているべきものですが、実際はそうでない場合も多くありますので、登記簿のみを信用するのは危険です。登記簿にはその物件の取得原因が記載されていますので、疑問がある場合は、以前の持ち主に聞いてみるなど、実態を把握する必要があります。
売り主は通常、その物件の権利証をみせるものですが、権利証は、物件の登記済権利証として発行されるものですので、その後の所有権については何も記載がなく、権利証のみで所有者と判断するのは危険です。

Ⅱ 登記簿上の表示と現状が一致しているか
登記簿上の表示と現状が一致しているかを調べるためには、現場にいってみることです。
登記簿の表題部というところには、
土地の場合、所在・地番・地目・地積が記載されています。
建物の場合、所在・家屋番号・種類・構造・床面積が記載されています。
建物の種類や構造は現場にいけばわかりますが、地目(山林・田・畑・宅地などの区別)が宅地のように見えても、登記簿上は畑ということもありますので注意が必要です。
面積も、実際と登記簿上では異なる場合もありますので、土地家屋調査士の作成した実測図を持ってきてもらうようにします。地番や家屋番号については、公図や建物所在図で確認します。
また、地形や近隣との関係については、登記簿や図面では分りませんので、現場にいって確かめるべきです。

Ⅲ 不動産利用を妨げたり、利用に必要な権利関係の有無を調べる
家を建てるつもりで購入した土地に借地権がついていたり、抵当権がついていたりすると、土地は十分に利用できなくなります。これらのことは、登記簿の乙区というところに記載されてあります。
その他に、土地が公道に面していないときの通路使用権の有無も重要です。こういった事項を売り主や近隣に住んでいる人に聞いたりして確かめておきます。

Ⅳ 土地計画法、建築基準法などの制限との関係
土地の場合は、土地計画法・建築基準法などの制限を調べておかないと、予定していた建物が建設できなかったり、道路用地に指定されていたりということが起きることもあります。
周囲が空き地の場合も、近隣にはどのような建物が建つ予定があるかなども、土地計画法・建築基準法を検討し予想します。建物の場合は建築基準法にあっているか調べます。これらは、不動産所在地の役所建築課に問い合わせれば確認することができます。

不動産の売買契約書に印鑑の捺印をした後に、トラブルにならないように、契約書に印鑑を捺印する前に、色々な方面からその物件に対して調査を行ないましょう。

2009年8月24日

会社の借金は5年で時効 印鑑を押す時の用心

会社の借金について、例を挙げてお話しいたします。
○○株式会社の社長を7年前まで務めていたAさんは、社長在任時に会社がお金を借りる際の借用書に、署名と印鑑捺印をして連帯保証人になっていました。Aさんが退職した後、○○株式会社は倒産してしましました。
ある日、会社を退職して隠居生活をしていたAさんに「○○株式会社にお金を貸していた」というBさんが訪ねてきました。Bさんの要求は「Aさんは○○株式会社が借金をしたときの連帯保証人なので、会社が無くなった今、連帯保証人の責任で、借金を肩代わりして欲しい。いま全額支払いきれないのであれば、残りはいつ払うか念書を書いて欲しい。」と言うものでした。
この場合、Aさんは、連帯保証人の責任で、以前社長を務めていた会社の借金を肩代わりしなければいけないのでしょうか?


・Bさんの要求はもっともなので、連帯保証人の責任上支払わなくてはいけないのだろうか?
・会社で借金した金額を個人で支払らえるのだろうか?
・Aさん以外の連帯保証人の責任はどうなるのだろうか?
など思い悩んだ末に、Aさんは弁護士事務所に相談しました。

弁護士の見解は、
会社の借金は商事債務というものなので、債権者のほうで5年間放っておくと、法律上とりたてができなくなります。Aさんが社長をしていたのは7年前ですので、会社の借金返済の義務はなくなります。
連帯保証人は本人(この場合○○株式会社)に借金返済の義務がなくなった以上、連帯保証人としての責任も負わなくて済みます。しかし、時効によって無くなった借金もAさんが相手(Bさん)に時効を主張しませんと、時効の権利を放棄した事になり、借金はそのまま残ってしまいます。少額のお金を支払ったり、念書を書いたりしてしまうと、時効の権利を放棄した事になりますので、注意が必要です。
と言うのもでした。

Aさんが念書を書いて、印鑑を押してしまったら、法律上でも立場が逆転してしまいます。
また、債権者のほうでも、5年も取り立てを放っておくという事は、まず有り得ないでしょう。

トラブルが起きたときは、より慎重に対応策を検討するべきだ、という一例です。


2009年8月21日

借地上の建物を担保に入れるとき

「賃借人は賃貸人の承諾がなければ、賃借権を人にゆずったり、借りているものを又貸ししたりはできない。賃借人がこれに違反した場合は賃貸人は契約を解除できる」

物品の貸し借りであっても、他人から借りている物を、貸し主の了解を得ずに勝手に、第三者に貸したり(又貸し)、処分できない事は知っていると思います。これが不動産の貸借問題になると話が複雑になってきます。


通常、土地を借り、家を建て、借家人に住ますことは、借地人にとっては借地権を放棄する事にはなりませんので、何も問題はありません。
しかし、その家を第三者に売却する場合は、あきらかに借地権の譲渡になりますので、地主の承諾が必要になります。その場合、地主は新たな借地人に対して、相当多額の名義書替料を請求するのが実情です。新たな借地人が名義書替料の支払いを拒むときは、地主側では借地権の譲渡を断るでしょう。どうしても家を売却したい事情があれば、名義書替料を前の借地人が、地主に支払うことになります。
また、銀行などから融資を受ける場合などには、建物を担保として抵当に入れても借地権の処分禁止違反にはなりません。借金が返済できなくなり、担保権が行使されるようになったとき、はじめて借地権の無断譲渡になります。

2009年8月18日

借家契約上の念書の効力

借家契約のなかで、トラブルになりやすいのが、契約期間が満了したときの明け渡しの問題です。
借家契約書に署名と印鑑の捺印をして契約をするのですが、通常に市販されている借家契約書には、家を借りる人にとって、不利な特約が書かれています。しかし、その不利な特約はほとんど効力を持たないことが多くあります。
「借家料金の支払いが一度でも遅れた場合は、契約を解除する」と言うような特約は、法律的にはまったくといって良いほど無効になります。
賃貸契約書以外に「○年△月◇日で明け渡す」という念書を取り交わしていた場合はどうなるのでしょうか?


借家契約の明け渡しについて、署名や印鑑の捺印をして念書を取り交わす場合は、大きくふたつに分ける事ができます。
◆家主側に正当な理由がある場合
家主が借家をつかう必要が生じた、借家が老朽化して建て替えを行なう、などの事情がある場合
◆家主側に特別な理由がない場合
家主から契約期限がきたので、催促され念書を書いてしまったという場合

念書とは、書いた本人の約束を記したものですので、通常は念書の内容通り実行しなければなりませんが、書いた本人の意志が変り、念書の内容が守れないときに、強制的に念書の内容を実行できるかには問題があります。この場合の「強制的」というのは、暴力行為での立ち退きではなく、裁判所へかけ合い念書の内容を実行させるという事です。裁判所では家主に正当な理由がある場合は念書の効力を認めるでしょうが、正当な理由が無い場合は効力をなかなか認めてくれないでしょう。

家主側はどうしたら借家人に明け渡しの念書を実行できるのでしょうか?
当事者同士では解決ができない場合は、弁護士などに相談するようになりますが、家主側の明け渡し条件に金銭的な条件(立ち退きに対する補償金など)を加えて、念書を書いてもらうようにするのが一般的です。

このような借家に対するトラブルでは、念書のみで済ませることはほとんどなく、和解契約書を作成して、和解金の額面や、支払い条件(例:和解契約した時点で半額、明け渡しの時点で残金)、明け渡しまでの借家料金、など当事者または代理人で条件を話し合い、双方が署名と印鑑の捺印をしておきます。

トラブルの内容が複雑なときは、念書一枚で解決にはならない場合が多いです。

2009年8月10日

借金より高い担保をとられてしまう

借金をする際に、不動産や物品を担保に入れて融資を受けることがあります。
これを代物弁済予約といいます。
代物弁済契約を結び、契約書に署名と印鑑の捺印をおこないます。



代物弁済とは「借金が期限までに返済できない場合は、物(土地や物品など)を譲渡する事で借金を無かった事にする」という制度です。100万円の借金をす る際、高級腕時計を担保にしてお金を貸してもらい、期限までに返済できない場合は、その高級腕時計を渡して借金を無かった事にする、というものです。
この場合、担保にする物は100万円の価値を持っている物でないとダメというわけではありません。何千万円という価値を持つ土地でも、50万円ほどの価値の壺でも、相手がその物品で了承してくれるのであれば、何でも問題はありません。

また譲渡対象の物品(不動産等)が本来の債権額と比べて金額があまりに上回る場合、差額分の精算しないと暴利行為として無効になったり、税務上贈与とみなされる可能性もありますので注意が必要です。

契約の際には契約書の条項にも良く注意してから署名と印鑑の捺印を行ないましょう

2009年8月 5日

未成年の息子が契約したが取消をしたい。

「未成年者が、法定代理人(親権者)の同意を得ないで行なった法律行為は取り消す事ができる」



Aさんのところに自動車のセールスマンが車を届けにきて、「車の代金を支払ってください」と言ってきました。Aさんは自分で車の購入をした覚えがないので、話を聞いてみると、息子のBさんが勝手に購入の契約をしていて、契約書には息子Bの署名と印鑑の捺印がしてありました。
このような場合、民法では、未成年者は単独で完全に有効な契約など結べない事になっています。法定代理人(親権者)の同意が必要になります。
たいていの場合、親権者は両親です。父親か母親の同意がなければ、契約は取り消すことができます。
例のような場合、Aさんは息子Bが勝手にした自動車購入の契約を取り消す事ができます。

未成年者であっても、既婚者の場合や、本人が成人していると相手をだまして契約した場合は、親権者でも取り消す事はできません。

2009年8月 3日

思い違いの契約を解除したい

「意思表示は、その重要な部分に錯誤(事実とそれに対する人の認識が一致しないこと)がある場合は無効である。ただし、その意思表示をした者に重大な過失があるときは、みずから無効だと主張できなくなる」


例としては
・Aという土地を購入したつもりが、契約書の内容はBというまったく別の土地を購入した事になっていた。
・購入してない商品の代金請求が届き、購入したと勘違いして、代金支払いの念書を書いてしまった。
・上下水道などの施設が整備されていると信じて購入した土地が、全く建設に不適当な土地だった

署名と印鑑の捺印をして、契約書を取り交わしてた後に、上記の様な事柄があった場合は、契約の取消請求をしなくても、その契約は無効になります。
しかし、将来その土地に高速道路を建設するというような情報から土地の高騰を見込み、土地を購入したのだが、間違った情報であった。
こういった場合の土地売買契約は無効にはなりません。思い違いの内容によっても契約は無効にも有効にもなります。

思い違いや勘違いで契約書に印鑑を押してしまう、という行為は褒められた行為ではありません。契約をする前に契約の内容を確認してから印鑑を捺印するように心がけましょう。

2009年7月29日

だまされて契約書に印鑑を捺印したので取り消したい

「だまされて行なった意思表示は取り消す事ができる。ただし、善意の第三者にたいしては、その意思表示を取り消したといっても効力がない」


相手を信用して売買契約書に署名と印鑑を捺印し、商品を納品したのだが、買い手ははじめから代金を支払うつもりはなく(詐欺行為)、その商品を違う相手(善意の第三者)に転売してしまい、逃げてしまった。
このような場合、だまされたと気がついてから「商品売買は無効なので、商品を返却して欲しい」と転売された善意の第三者に申し立ててみても、効力はなく、商品は返ってきません。
だました相手の手元に商品がないかぎりは、返してはもらえません。

強迫されて契約書に印鑑を捺印してしまった場合は、自分自身が恐ろしい体験をしているので、自分にとって不利な契約を無理矢理させられている事は理解できるのですが、だまされて契約書に印鑑を捺印してしまった場合は、自分がだまされている事に気づかずに契約を進めているので防ぎようがありません。

何度も繰り返してお知らせしますが、特に重要な契約書に印鑑を捺印する際は、慎重に契約内容を確認して、相手方が信用できるのかを確認してからおこないましょう。

2009年7月21日

強迫されて行なってしまった契約を解除する

「強迫されてした意思表示は取り消す事ができる」

昼夜を関係なく、家に押しかけ
「契約書に署名と印鑑を捺印をしないと家族に危害を・・・」
などと脅しをかけられ、無理矢理に作られてしまった契約書は解除ができます。



このように脅しをかけられ、契約書に署名と印鑑の捺印を迫られた時には、すぐにでも警察に通報するのが一番なのですが、脅しをかけられている最中に警察に通報するのはむずかしいです。
このような時は、危険がさってから、すぐに警察に被害届を提出するのがよいでしょう。

強迫されて署名、印鑑捺印した契約書や念書などは取り消せば効力がなくなりますが、もし裁判という事になった場合に、被害届を提出した事が、強迫を立証する重要な証拠となります。

2009年7月13日

期間に間に合いそうにもないので契約を解除したい

「当事者の一方が、その債務を履行しないときは、相手側は相当の期間内に履行するよう催告して、それでも履行されない時にはじめて契約を解除できる」
「催告をしないでも解除できるという特約がある場合は、催告をする必要はない」
「契約の性質上、ある一定の日時または期間内に履行しなければいみがなくなる場合に、その日時を経過しても履行されない場合は、催告をしないでも契約を解除できる」
「債務の全部または一部が債務者の責任で履行不能となったときは、期日がこなくても契約を解除することができる」



店名入りのカレンダーを注文しましたが、発注した印刷会社で年内に間に合いそうになく、注文を取り消して年内に間に合う印刷会社に注文をし直しする。といったような場合になります。
この場合、注文者の都合で注文の取り消すのであれば、前回お伝えしましたように、注文者は印刷会社に損害を賠償しなければならなくなりますが、注文の依頼をする際に「カレンダーなので○○日までに作成して欲しい」という条件を伝えているにもかかわらず、期日に間に合わないと言う事になれば、印刷会社の損害を賠償する必要はなくなります。
通常は、期日を指定して注文した場合、その期日に仕上げられないときに、はじめて契約を解除できるのですが、最初からその期日に間に合いそうにもない事がはっきりしていれば、期日がこなくても解除することができます。
家の新築を依頼した場合も、大工さんが仕事に取りかからずに、期日までに家の建設ができない事が明らかな場合も、同様に契約を解除することができます。

ココで注意したいことがあり、「期日までに完成できるかどうか」の判断はとてもむずかしいことです。あまりに早く契約を解除してしまうと「履行不能」による解除ではなく、「注文者の都合」での解除とされ、請負者の損害を賠償しなければならなくなってきます。
「履行不能」による解除と、「注文者の都合」での解除では結果がまったく違ってきますので注意が必要です。

2009年7月 8日

新築工事の契約を解除したいとき

「請負人が仕事を完成しないあいだは、注文者はいつでも損害を賠償して契約を解除することができます」
家の新築工事を依頼する場合は、署名と印鑑の捺印をして、かならず「工事請負契約書」を作成します。

ところが、工事をはじめてもらったが、急に資金ぐりが苦しくなった等の理由によって工事を中止したい。契約書には印鑑を捺印してしまったし、工務店でも材木を切り出ししてしまっている。注文者の一方的な都合で契約を解除できるのでしょうか?


工事の請負契約書のように、請負人のほうで、ある一定の仕事を完成することを約束する契約の場合、注文者は原則としていつでも契約を解除することができます。契約を解除する際には、請負人の方で仕入れした材料や人員の手配などの損害は、注文者が賠償しなければなりません。

「工事請負契約書」を解除する際に良く問題になるのが、どの程度の賠償をしたらよいかと言う事です。工事の進行程度、材料の転売が可能か、どの程度の純益を見込んでいたか、などを計算し損害額を出すことになります。
このように「工事請負契約書」を解除にはトラブルが多く発生しやすいのですが、家の新築請負工事などのように建設請負工事に関してのトラブルが発生した場合、都道府県の建築課に相談をするとよいでしょう。

また「工事請負契約書」には「この契約について争い(トラブル)が発生した場合は、中央建設紛争審査会、または都道府県建設紛争審査会の仲裁判断に付する事を双方同意する」のような明記がされている場合が多いです。
この表記がありますと、裁判所で訴訟を起こそうとしても、請求却下(紛争の内容について判断をしない)されてしまいます。

2009年7月 3日

贈与の約束を取り消したいとき

「書面によらない贈与は、その履行が進まない限り、取り消す事ができる。贈与するという契約書を作成すると取り消しができない」
一度、物品をあげると約束してしまったら、原則として約束した時点で、もらった人のものになります。



「所有権はその意思表示のときに移転する」という原則があり、なんらかの条件をつけていないかぎりは、そのまま所有権の移転が認められます。しかし、口頭での約束の場合、約束のあとで取り消しができてしまいます。贈与しようとした人が「気が変わった」という理由でも贈与取り引きの取り消しができてしまいます。先に挙げたとおり、署名と印鑑の捺印を終え契約書を書面で作成した場合は、贈与取り引きの取り消しはできなくなってしまいます。
贈与契約書に署名と印鑑の捺印をする際は、後悔しないことを十分に確かめてからおこないましょう。

2009年7月 1日

セールスマンとの契約を解除したいとき

「セールスマンが訪問してきて、商品を分割払いで買うという契約をしても、契約書をもらってから4日以内であれば書面によって解約ができる」
セールスマンの話術にのせられ、不要な物を買ってしまった、高額な物を買ってしまった という話や苦情は多く耳にします。
このような場合、クーリングオフという一定期間、無条件で申込みの撤回または契約を解除できるという一般消費者を保護しようという法制度があり、解約ができる事になっています。




セールスマンが訪問してきての売買契約については「訪問販売のクーリングオフ」が適用され、期間が設けられていますので、クーリングオフ期間内に はっきりと書面で投函するようにしましょう。またクーリングオフについては様々な注意事項があり、クーリングオフについてわからない点などがあれば、消費 者センターで無料にて相談を受付てくれます。


印鑑の訪問販売について

弊社、光宝堂の創業者は70年前に訪問販売で印鑑の販売をはじめました。当時は、お客様により良い品物を紹介するため、行商というスタイルで印鑑の販売をはじめました。しかし現在ではインターネットを初めとする通信機器の発達により、訪問販売を一切せずに通信販売での印鑑販売をおこなっています。
「訪問販売で品物に見合わない高額な印鑑を買ってしまったのですが・・・」という訪問販売被害の相談お電話を頂きます。同業者を避難するのは気が引ける部分もありますが「訪問販売にはクーリングオフの制度がある」と認識して、悪徳な訪問販売業者にはご注意ください。
また、通信販売(インターネット通販)にはクーリングオフは適用されません。通信販売での商品購入の際には、販売者が独自に商品到着後○日以内の返品が可能などの規定を設けていますので、購入前に確認してから注文を確定しましょう。

2009年6月26日

売買契約を解除したいとき

「買い主が売り主に手付金を支払った際は、どちらかが契約の履行に着手するまで、買い主は手付金を放棄した上で、売買契約を解除できる。売り主は手付金の倍額を買い主に返金して売買契約を解除できる。」
売買の契約書に署名と印鑑の捺印して、売買契約を成立させてしまっても、手付け放棄(買い主)、手付け倍戻し(売り主)で売買契約を解除できると言う事です。
しかし、契約会場について注意しなければ行けない点があります。
「どちらかが契約の履行に着手」してしまった場合はこの方法での契約解除は行えません。
「履行の着手」とは、売買に必要な書類をそろえてしまったとか、料金支払いの手続きをしてしまったなどという場合になります。

2009年6月25日

契約を解除する条件と方法

契約書に署名と印鑑捺印をおこない、契約を成立させました。しかし、契約の話がどうもおかしいので、契約をご破算にしたい。または、さらに良い条件で契約できる相手がみつかったので、前に結んだ契約を解除したい。など契約書に署名と印鑑捺印を終え、契約成立させてしまってから、事情が変わり契約解除したいということは良くある話です。



たいていの場合、契約書に署名と印鑑捺印を終え、契約を成立させてしまった場合は、契約の内容どおりに履行しなければなりません。以前にも紹介しましたように、契約に用いる印鑑は実印でも三文判でも効力はまったく同じです。
このことからも、契約書に印鑑を押す場合、特に大きな金銭がかかる場合は、相手に「印鑑の捺印を・・・」とどんなにせき立てられようとも、余裕を持ち契約の内容をよく確認し検討する心構えが必要です。
契約書に記してある内容に、少しでも不明な点がある場合は、納得するまで相手に質問するべきです。
一度交わした契約を解除できる条件・手続きは次回から紹介いたします。

2009年6月23日

「契印」とは

契約書が何枚かにわたる場合や、図面・物件目録を別紙に添付する場合などには、各用紙のとじ目部分に、契約当事者双方の印鑑を捺印します。この印鑑を「契印」と呼びます。
原則として契印にもちいる印鑑は契約書と同じ印鑑を押します。



気兼ねなしに捺印してしまいがちな印鑑で、書類の体裁を整えるための形式的な印鑑と軽く考えがちですが、契印というものは契約書の一部が差し替えられたりすることを防止するためのもので、重要な意味を持つ印鑑です。

契印のない契約書が無効という訳ではありませんが、後日、契約内容について裁判などとなったさいには、契印のない契約書の場合は、契約当初からそのページがあったのか?なかったのか?を改めて証明しなければなりません。

契印がはっきりと捺印されていた場合は、そのページが連続して存在している事を簡単に証明できます。契約書などが一枚で終わらない場合は必ず契印を捺印するようにしましょう。

2009年6月19日

印鑑の捺印がなくても契約書は有効です。

タイトルどおり、印鑑が捺印されていなくても契約書としては有効なのですが、誤解をまねく原因にもなります。ご注意ください。

日本と海外では契約書に違いがあります。
通常日本では、契約書は当事者同士が署名・印鑑を捺印して契約するものと考えられています。また印鑑がない場合、拇印を押すことで本人が契約した証拠として扱われます。ところが海外(特に欧米)では、そういった習慣がなく、印鑑を持ち合わせていないので、サインですませてしまいます。

文頭にも表記しましたが、日本で欧米のように印鑑を捺印せずにサインのみで契約した場合でも、有効とみなされます。法律でも「契約は意思表示によって成立する」とあり、口頭でおこなった契約も有効になります。契約書に印鑑の捺印がなくても、意志の合意が認められれば、契約成立ということになります。
しかし、印鑑を捺印せずにサインのみの契約書では、不安感があります。それに、印鑑のない契約書では、第三者に「しっかりとした契約書ではないのでは?」と勘ぐられてしまいます。裁判になったときでも「正式に契約するつもりがなかったので、印鑑を押さなかった」というような口実を与えることにもなりかねません。(この口実で裁判の勝敗が決定するわけではありません。)

このように、「印鑑のない契約書が有効」といっても、印鑑の捺印してある契約書のほうが安全です。
日本の現状では、「契約書に印鑑を捺印してもらうべきだ」と覚えてください。

2009年6月15日

表見代理が認められるケース

表見代理とは、無権代理のうち、一定の場合については、本人に責任を負わせることを言います。これは取引をした相手方を保護するための制度です。
代理権を与えていない人間が勝手に相手方と取引をしてしまったにもかかわらず、本人が契約の内容を履行しなければならなくなるケースもあります。

表見代理が認められるケース

① 代理権授与の意思表示による場合
例:本人がある人に代理権を与えたと言いながら、実は与えていなかったという場合です。
代理権を与えていないのに、白紙委任状をわたしてあるときは、その所持者に代理権があるものと解釈されます。

② 代理人が本来の権限をこえて代理行為をした場合
例:100万円の借り入れについて代理権をあたえられていた人間が、100万円以上の借り入れをしてしまったという場合です。
こういったことを防ぐために、代理権の範囲を委任状に明確に表記しておくことが大切です。
委任した内容が分からないような委任状や、白紙委任状などは、こういった点からも問題が起こりやすいので注意が必要です。
委任する時点では、本人も代理人もお互いを信頼しているので、口頭で約束してしまい、委任事項を明記しなかったためによく起こるトラブルです。

③ 代理権の消滅した元代理人が、あたかも代理権があるようにして、代理行為をおこなった場合

以上があげられます。

3件とも、代理権がない人間がおこなった代理行為にもかかわらず、本人が責任をおうハメになるのですから、相手方に保護をするだけの事情がなければなりません、
相手方に「代理権があると信じたことが正当なこと、過失がなく代理権があると信じたこと」を証明することが必要になります。

2009年6月12日

代理人との契約が無効になる場合

代理人を相手に印鑑を捺印し署名を終え、何かの契約を行なった際に、その代理人が代理権を持っていなかった場合(無権代理人)はどうすればよいのでしょうか?
こういった場合、原則として本人は契約について責任を負わなくても良い事になっています。しかし、契約の状態などでは責任を負う事があります。

① その契約が本人にとって、不利益な契約でない場合、本人が後に契約を行なった無権代理人を自分の代理人が結んだものと認めた場合(追認)は、その契約は有効になります。

② 無権代理人と取り引きをした相手方は、本人に対して相当の期間を定めて、契約の内容の追認をするか、しないかを催告することが出来ます。その期間内に本人が追認した場合、契約は有効になり、追認しない場合、契約は無効になります。

③ 無権代理人と取り引きした相手方は、その取り引きの当時に、無権代理人と知らずに契約をおこなった場合、本人が追認するまでは、契約取消が可能です。

④ 本人の追認が無く、代理人と称する人間が有効な代理権を持っていたことの証明ができないときは、相手方はこの無権代理人に対して、その契約にしたがっての履行か、損害賠償請求ができます。

※ 無権代理人に対しての損害賠償請求は、相手方が無権代理人であることを知っていたり、不注意で知らなかったりした場合や無権代理人が未成年者であった場合などは、請求できません。

しかし、相手方が代理人を信用し契約を結んだ際、代理人の確認などに落ち度がないことが認められた場合は本人に責任を負わせる事ができます。法律でも無権代理のうち、一定の場合には本人に責任をおわすことができるとしています。(表見代理)これは取り引きを円滑におこなうための処置です。

2009年6月10日

委任状に代理権の内容を明記する

代理人を通して契約を依頼する際には、委任状に代理権の内容・範囲を明確に表記して、署名と印鑑の捺印をして代理権をあたえることが大切です。
委任状は、代理人にわたした後に、内容を変更されないように、委任事項・と代理人の氏名を自分で書き込み、訂正する箇所があれば、自分で訂正して、訂正した文字数を欄外の訂正印のところに記入し、それ以外の不要な捨て印は捺印しないようにします。
また、取り引きに相手方がわかっているのであれば、代理権の内容に疑問が生じないように、「○○さんに代理人として契約を任せる」というように、口頭ででも告知しておいたほうがよいでしょう。
契約などにおいて、代理人が委任事項の範囲をこえる行為をおこなった場合に、委任事項の範囲をこえた部分について責任をおわされる事を防ぐためにもこのような確認が必要です。

2009年6月 8日

「代理権の証明」を確認する

代理人と称する人間が、本人から代理権を与えられていなければ、本人に責任をおわす事はできないので、相手側としては、第一に代理権を証明させる事が重要です。代理権の証明には、委任状がつかわれます。委任状の印鑑、文面をみて取り引きをしても良いものか判断をします。 相手側は委任状をみて、その取り引きに関しての代理権を持っているかを確認します。その上で代理人がその取り引きに対する代理権を持っていない場合、本人に責任をおわすことはできないので、取り引きをしないようにします。
また、委任状に捺印されてある印鑑にも注意するようにします。
少しでも不振な点があった場合や、委任事項や代理人氏名のない白紙委任状の場合、本人に確認してみるのがよいでしょう。

委任状には実印が押してあり、本人の印鑑証明書が添付されている事もありますが、委任状の印鑑は法律的に三文判でもよく、また実印が捺印されているからといって代理人に間違いがないだろうと早合点するのは禁物です。

委任状は持参していないが、本人の実印・印鑑証明などをもっているので代理人だという場合もあります。
この場合は委任状持参のとき以上に本人に確認するほうがいいでしょう。
代理人と称する人が、本人と親子関係にある場合など、本人に無断で実印を持ち出す事は容易にできます。本人と近い人間が代理人と言うときにはなおさら注意が必要になります。

2009年6月 5日

代理人と契約するときの注意事項

AさんとBさんとが何かの取り引きを行なう際に、Aさんに変わり交渉や契約をしたりする代理権を与えられている人の事をAさんの代理人といい、Aさんを本人、Bさんを相手方といいます。
Aさんの代理人CさんがBさんと契約した事柄によって生じる義務を履行すべき人は、代理人CさんではなくAさん本人になります。Aさんは代理人Cさんのおこなった法律行為(契約事項)について、自分自身がしたと同じ責任を負う事になります。
ですので、代理人を通じて取り引きなどを行なう場合は、本人が代理人にどのような内容、範囲の代理権をあたえるかをはっきりしておかなければなりません。また代理人はあたえられた代理権の範囲内でしか有効な行為はできません。


代理人との契約に際する印鑑の重要性について、何回かに分けてお話しいたしいます。

2009年6月 1日

契約書に印鑑を押す事は「意志の証明」です

おおよそ、契約書の文末には「本契約の成立を証するため、本契約書2通を作成し、甲乙記名捺印の上各自1通を保有する」という文章が入ります。
契約書は、契約書に記された内容の契約が、署名と印鑑の捺印によって。成立したことを証明する書類だと言えます。


日本での取り引き社会は、印鑑を押す事を重要視します。印鑑が捺印されていない契約書は、ほとんど作成されません。そういった事から、契約書に押す印鑑および署名は、かならず契約当事者本人がすべきです。
契約書の署名と印鑑の捺印には
「契約当事者の意志に基づく、契約の成立」という意味があります。とくに印鑑の捺印については「意志の証明」「意思の確認」といった重要な役割があります。

ですので契約成立後に「そのような契約はした覚えがない」との主張があったとしても、裁判で署名と印鑑の捺印が本人のものと証明されれば、その通り契約が成立したもの認められる可能性は高いです。


また、契約書に捺印する印鑑は実印でなければならないと言う事はありません。三文判や拇印でもよい事になっています。

契約書におけるトラブルが起こらないように、署名と印鑑の捺印の意味を正しく理解してから、署名と印鑑の捺印行なうように心がけましょう。



2009年5月25日

借用書に印鑑を捺印しても、法定外の利息は払わなくて良い

《数日後にお金が必要で、金策に走り回ったがどうしても足りず、金融業者で「利子が高いかな?」と思いつつも、借用書に印鑑を押してお金を借りてしまった。後に、改めて金利を計算してみると、かなりの高利である事に気が付き困惑する。》
このような話をよく耳にします。


金融業者で借用書に印鑑を捺印してしまった。

印鑑を捺印したのであれば、納得の上での契約ということになります。しかし「法定外」の利息を請求する借用書に印鑑を捺印してしまった場合、「法定外」の利息を支払う必要は無く、元利を完済しなくても良い事になっています。

2009年5月11日

土地売買は登記簿のみでは信用できません

マイホームを建設する際、土地と家屋の購入をしなければなりません。しかし、両方を一度に購入するのは容易ではなく、家屋の建設は後回しにて、まずは土地の購入をしておくという方もいらっしゃると思います。ところが、土地の売買契約書に印鑑を捺印し、代金を支払った後で売り主の土地ではなかったという詐欺事件があります。



土地を買うという行為はとても大きな買い物です。買い主側でも、購入前に土地について調査をしてから売買契約書に印鑑の捺印をしているはずです。売り主側の言葉のみを信用して印鑑を捺印するということは、まず考えられません。
土地の所有権は、本当の土地権利者から譲り受けて初めて買い主の物になります。売買契約書に印鑑を捺印してしまってからでは、その契約書が詐欺のもと主張してみても認められません。

こういった詐欺行為が起こる原因として、契約時に登記簿のみを信頼し、印鑑を捺印したために起こる事が多いようです。
登記簿は、実際の権利関係を可能な限り忠実に反映するのが建前ですが、現実にそうなっていない場合があります。登記簿上の所有権者が本当の所有者では無い事がまれにあります。
ですので、「登記簿の記載を信用し売買契約書に捺印をした」と主張しても、買い主の権利は保護されません。


印鑑は最後まで捺印しない

土地の売り主=所有者ではないという場合、2つのケースが考えられます。
  Ⅰ 登記簿上でも実際にも売り主が所有者でない場合
  Ⅱ 売り主は登記簿上の所有者だが、実際の所有者では無かった場合
があります。

Ⅰの場合
土地の売買詐欺にあい、他人の土地を買わされてしまった場合、売り主Aが登記簿上の実際の所有者Bをよそおい、実際の所有者Bの印鑑や権利証を偽造して、買い主Cに売ったというような場合になります。
この場合の売り主Aは、土地を売る権利はなくその土地に対する権利は何も持ってはいませんので、買い主Cは土地の所有権を取得できません。しかし、売り主Aが、実際の所有者Bの代理人と称して、所有者Bの印鑑や権利証を買い主Cに見せて売買契約をした場合、買い主Cは所有者Bに対して売り主としての責任を追及でき、所有者Bは売ってないと主張する事はできません。

Ⅱの場合
Aが所有者として登記されて、実際にもAが自分の土地として使用していて、その土地を買い主Cが購入したが、本当の土地所有者はAではなくBだったという場合で、この場合、本当の土地所有者Bは買い主Cを一概に避難することはできず、登記簿と本来の権利関係が不一致をきたした理由により、CとBの所有権が決定します。

このように土地売買でのトラブルは予期せぬところから起こりがちです。登記簿のみを信用して契約書に印鑑を捺印してしまうのは、危険なことが多いです。ですので、土地売買契約書に印鑑を捺印する前に、登記簿の記載が実際の権利関係を反映しているのかを可能な限り調査してから印鑑を捺印することをおすすめ致します。

土地を購入するという事は、一生のうちで何度もあることではありません。印鑑を捺印するのは、最後の最後で問題ないと覚えておくと、トラブルや詐欺にあうこともそうないでしょう。


2009年5月 8日

身元保証人の法的責任

身元保証とは、従業員(本人)が会社の就職などをするときに、従業員(本人)の行為によって雇い主(会社)が損害を受けた場合に第三者(身元保証人)が賠償することを約束するもので、雇い主(会社側)と身元保証人で取り交わす契約事項です。身元保証契約の存続期間は、期間の定めのない場合は一般には3年(期間を定めた場合も最長5年)です。
身元保証書と保証人の印鑑および印鑑証明書を提出させます。


身元保証書は、「連帯保証人契約」とは異なります。また、身元保証契約は、身元保証法の規定に従わなければなりません。

従業員(本人)に業務上不適任または不誠実な行跡があり、保証責任が発生する恐れがあることを知ったとき、または任務または任地を変更したことによって保証責任が加重または監督が困難になるときには身元保証人に通知する義務があり、身元保証人は通知を受け、または自身でこうした事実を知ったときには将来に向けて身元保証契約を解除できるとしています。また、これらの規定に反し、身元保証人に対して厳しい内容の特約を設けても、効力を有しないとしています。

このように、身元保証人の責任はある程度限定されていますが、それでも厳しい内容であることには変わりありません。軽い気持ちで引き受けることは避けるべきでしょう。

2009年5月 7日

保証人の印鑑は重大責任です。

一言に「保証人」といっても、様々な事柄での保証人があります。身元保証人、婚姻届の保証人など、その種類によって責任も変わってきます。
今回は、主債務者(お金を借りた本人)が債務を履行できなくなり、主債務者にかわって債務を履行する責任を負うことになる、金銭にかかわる保証人の印鑑についてお話しします。


主債務者が債務を履行しなかった場合、保証人にその債務の履行が請求されます。
AさんがBさんにお金を借りるとき、保証人をCさんに依頼した場合、
Aさんが主債務者
Bさんが債権者
Cさんが保証人になります。
AさんがBさんにお金を返金できなくなった場合、債権者Bさんは主債務者Aさんに代わり保証人Cさんに請求することができます。

保証人は債権者(お金を貸した人)と保証契約を結びます。法律上かならず保証契約書を作成する必要はありませんが、通常は保証契約書を作成します。金銭の貸し借りの場合、金銭消費貸借契約書に保証人として署名と印鑑の捺印をする形で作成されることが多いです。

保証人として、署名と印鑑捺印を行なった場合、どのような責任を負わなければならないのでしょうか?保証人には単純保証人と連帯保証人とがあり、どちらかによって責任の重さが変わってきます。

単純保証人とは
主債務者の債務を、債権者に対して保証する人のことです。
単純保証人は、主債務者の債務不履行によって、債権者から債務の履行を請求された場合、催告の抗弁権(「まず主債務者に催促して、それからこちらにきてくれ」という権利)があり、さらに検索の抗弁権(「主債務者には借金を弁済するだけの財産があるから、まずこれについて強制執行してくれ」と主張する権利)があります。

単純保証人の責任は、主債務者の責任に次ぐ二次的なものといってもよいでしょう。しかし、単純保証人の権利は一時的なものに過ぎないので、最終的に主債務者に支払い能力が無くなった場合、債権者の請求を拒否できるものではないので、催告の抗弁権・検索の抗弁権があったとしても、安心できる訳ではありません。


連帯保証人とは
主債務者の債務について、主債務者と同様の債務の履行を負う人のことをいいます。単純保証人のように「主債務者への催促」や「主債務者への強制執行」を主張する権利はありません。

連帯保証人の責任は、主債務者とまったく同じ責任を負う事になります。また、保証人が一人ではなく複数人の場合、単純保証人であれば、債務の額を保証人の人数で割った額のみ責任を負うことなりますが、連帯保証人の場合は保証人が何人いようと、債務の額を全額支払うことになります。「ほかにも保証人がいるから」と言われても、連帯保証人の債務の額は、主債務者とまったく変わりません。債権者にしてみれば、連帯保証人が多くいた方が、多い分だけ利益が大きくなります。

以上のように金銭の保証人になる際の印鑑捺印はとても恐ろしいものです。なるべく印鑑の捺印は避けたいですが、どうしても保証人の印鑑を押さなくてはならない場合は、契約の内容を良く確認してからにしましょう。


名目が同じ「保証人」であっても、婚姻届や離婚届にも保証人の署名と印鑑の捺印欄がありますが、この場合の保証人は、なにかの責任を負うと言うものではありません。




2009年4月28日

ニセの婚姻届でも受理されます

婚姻は民法によって
「婚姻が成立するためには、当事者の婚姻する意思がなければならない」
「婚姻は届け出によって成立する」
とあります。
婚姻する当事者に「婚姻の意思」があり「婚姻届」を役所に提出すれば、正式に結婚となります。婚姻届に捺印する印鑑は、婚姻する当事者ふたりの「意思の確認」という重要な意味を持っています


以前にも説明しましたが、婚姻届の手続きは簡単です。(参考
役場にそなえつけてある「婚姻届用紙」に必要事項を記入して、婚姻する当事者2名の署名と印鑑の捺印、保証人2名の署名と印鑑の捺印があれば受理され、届け出は本人でなくてもよい事になっています。届け出を受け付けする役所の戸籍係は、法律に定められた婚姻適齢の男性満18歳以上、女性満16歳以上か、女性については満6ヶ月の再婚禁止期間を過ぎているか、すでに法律上結婚していないか、などは調べますが、「当事者に婚姻の意思があるのか?」などの確認をおこなう事はなく自動的に婚姻届を受理してしまいます。

この制度には、なんら問題点はないようですが、実は大きな問題点があります。「当事者にとって、婚姻の意思確認という重大な意味を持つ印鑑が役所では形式的なものにすぎない」という問題です。しかも婚姻届に捺印する印鑑は、市販さえている三文判でもまったく問題なく受理されます。となりますと、相手側の住所、本籍地など婚姻届に必要なの情報さえ解れば、誰にでも婚姻届は提出できるという事になり「知らないうちに結婚していた」という可能性も十分に有り得ます。

現在このような事件を防ぐ手だてはありません。しかも、一度受理されてしまった婚姻届は、当事者、片方、双方の同意がなくニセモノであったとしても戸籍に「婚姻」の記載がされてしまうと、取消には面倒な手続きをとらなくてはなりません。



ニセの婚姻届けでも簡単に離婚はできません

知らないうちに他人と結婚させられていた場合、訂正する手続きがあります。

Ⅰ、家庭裁判所に「婚姻無効」の調停を申し立てます。この調停で、ニセの婚姻届を出した相手が無効を認め、無効の原因について争いがなければ無効になります。

Ⅱ、Ⅰの調停が上手くいかなかった場合はニセノ婚姻届を提出された「被害者」は、無断で提出した「加害者」を被告とした婚姻無効の確認の訴えを地方裁判所に対して起こさなければなりません。

※ Ⅱの場合、加害者側が控訴・上告をして争ってくる事もあります。そうなりますと、裁判には時間がかかり、被害者は長い年月を失うことになります。また、ニセの婚姻届でも、それが戸籍上に記載されている以上は、重婚になるため、正式な婚姻届は受理されません。

Ⅰで決着がついた場合「審判書謄本」を、Ⅱで決着がついた場合は「判決謄本」をそえて役所の戸籍係に訂正を申し出れば、戸籍簿から婚姻の記載が消されることになります。

※ ニセの婚姻届でも3ヶ月の間、何もせずに放っておくと、正式な婚姻として有効とされてしまいます。




2009年4月27日

受領の印鑑のない領収証

お金の支払いをした際には領収証を受け取ります。支払う側には領収証を請求する権利があり、相手側が領収書を出さない場合は、支払いを拒否する事ができます。
領収書の形式には決まりはなく、印鑑捺印、署名が無くても有効です。ただし、領収証の意味は「支払った」という証拠なので、受け取った事実、債権者・債務者の氏名、受領年月日、何の支払いか、の事柄は明らかにしておく必要があります。


領収証には印鑑、署名がなくても有効ですが、二重払いの危険を防止するための証拠としての役割から、受取人の名前が、自署ではなく記名のみで、受取人の印鑑がないものは、あとになって証拠として役に立たないおそれもありますので、領収証に印鑑の捺印があるかはしっかりと確認しなければなりません。

本人に支払いをした場合でも、受領印がなければ二重請求された場合に、トラブルの元になります。さらに、本人ではなくつかいの集金人に支払った場合には、受領の印鑑のない領収証を受け取った場合には二重払いのトラブルに巻き込まれることが大いに有り得ます。

本人ではない集金人に何かの料金を支払い、領収証を受け取り安心できるのは、集金人が本人作成の領収証を持ち、この領収証には受領の印鑑が捺印されているからです。「受領の印鑑がないものは無効」と記載されている領収証の場合、支払う側には受領の印鑑があるかを確かめる義務が発生します。その確認をせずに支払ってしまい、受領の印鑑がない領収証を受け取ってしまうと、領収証自体が無効になってしまい「支払った」事実まで無くなってしまう可能性も十分考えられます。

いつも集金に来る集金人が受領の印鑑のある領収証を持ってきて、支払いを済ませた場合、集金人に依頼した本人が「その集金人はすでに解雇していた」と言っても、受領印のある領収証があれば、支払いは有効になります。


集金の際に本人ではない集金人を無条件に信用したり、受領の権限を持っているか、領収証は正しいものか、などを支払う本人に確認する義務はないと思いがちですが、最低限、何かの支払いで領収証を受け取る際には、受領の印鑑の有無は確認する必要があります。
その確認をしないが為に、思わぬ二重払いをしなければならない事になるかもしれません。

2009年4月24日

不要な手形には印鑑を捺印しない

手形をよく振り出す事があるからと手形帳を銀行から受け取り「手形を振り出す際に印鑑の捺印をする手間を省くため」と手形帳に使う前に印鑑を捺印して保存をしておくという方もいらっしゃるのではないでしょうか?こういった行為は直ぐにやめましょう。盗難にあったとき、紛失したときに大変なことになります。


約束手形は、裏書きなどによって、次々に流通していきます。盗難された手形でも、紛失した手形でも、流通してしまえば、振出人として支払いの義務が発生してしまいます。手形は取り引きをスムーズに運ぶための手段ですので、手形の受取人は、受け取りの際に、「盗まれた手形?紛失した手形?」と確認は行ないません。

訴訟でも、「手形を流通させる意志があって手形に記名・印鑑の捺印をしておいた手形は、たとえ交付しなくてもその責任を負う」とされたようです。
「手形を流通させる意志が無く記名・印鑑の捺印をしてあった手形は、支払いの義務がない」という事になりますが、これを証明することは、不可能に近いでしょう。

以上のことから、不必要な手形用紙には印鑑の捺印をする事は、絶対にさけましょう。

2009年4月23日

拇印を押した手形は無効

約束手形の振出人欄に、記名と拇印が押されていた場合、受取人は支払いを求める事はできません。手形が有効に成立するためには、振出人の署名、または記名と印鑑の捺印が必要になります。

※ 署名とは、本人が自筆で氏名を手書きすることになります。記名とは、本人が自筆で氏名を手書きする(署名)以外の方法で氏名を記載することです。(例:他人による代筆、ゴム印を押したもの、ワープロで印刷する場合など) 振出人の欄に記名と拇印ある手形を受け取った受取人が、満期日に支払いを断られ支払い請求を求めた訴訟事例の場合、「手形の成立条件である署名は、記名と印鑑捺印で変える事ができるが、拇印は含まれない。」として、振出人の支払い責任を認めませんでした。受取人は「現在の指紋鑑定は発達しているので、印鑑捺印よりも拇印の方が信用できるのでは?また、手形の成立条件の記名、捺印の印鑑捺印は三文判でもよいとされているので、振出人が手形を振り出すつもりで拇印を押した以上、有効なのでは?」として上告しました。
判決では、「拇印(指紋)は本人を証明する確かな証拠ですが、本人のものであっても特別な鑑定をしなければならないので、本来の手形流通の意味がなくなってしまうから無効」とされました。

拇印と記名によって振り出された手形は、振出人は手形上の責任を負わないだけではなく、引き受け、裏書き、保証などすべてが無効になるようです。

2009年4月22日

社長の印鑑ある手形は会社の責任

手形が偽造された場合、被偽造者(偽造された側)は手形上の責任をおうものではない。たとえば、会社内で手形の振り出しの権限のない人が勝手に代表取締役の印鑑を捺印して、会社の名義で手形を振りだした場合、会社は手形上の責任を負わない事になります。
しかし、会社は何の責任も負わなくて済む訳ではありません。民法に「会社は被用者(会社が雇用している人)が実務の執行につき、第三者にくわえた損害を賠償すべきである」という規定があり偽造された手形でも責任を負わされることもあります。


たとえば、ある会社のAさんは会社内で手形を振り出す権利はなく、会社の印鑑を出し入れできる権利は持っていました。手形を振り出す際には社長の命を受けてAさんが手形を作成して社長に提出して、社長が会社の印鑑を捺印して振り出す。とういシステムで手形の振り出しを行なっていました。
Aさんが、社長の了承なしに手形を偽造してしまった事例の場合、「Aさんは本来、手形振出の権利はなく、その職務を逸脱して手形を偽造し、振り出ししてしまったが、手形の振り出しはAさんの職務権限内の行為と深い関係にある為、手形の受取人はその行為が偽造であったかを確認することはむずかしいので、会社は手形の受取人に対して民法上の理由から責任を負わなければならない」とされたようです。

被用者(会社が雇用している人)が手形の偽造をした場合は、つねに会社が責任を負うという事ではありませんが、手形の振り出し行為と関連性が深い人が行なった手形の偽造は会社の責任とされる場合もあります。
手形振り出しの権利、会社印鑑の使用権利は信頼できる一部の社員にのみ与える方がよいでしょう。

2009年4月21日

手形は署名と印影が一致しなくても有効

手形では「署名」と「印鑑の印影」が同じでなくても有効とされます。印鑑は行為者の印鑑として用いられたものとして捺印してあれば良いという事になります。


手形の裏書きに記名されてあった名前と、捺印されてあった印鑑の名前が違ったという事例がありました。満期になり支払場所の銀行に提示すると、「裏書人の名前と印鑑が違うので、誰の記名、印鑑捺印かわからない」ということで、支払いを拒否されてしまいました。その手形は裏書きの連続性に欠くという理由から支払いが拒否されてしまったようです。

その手形の所持者が訴訟を行なった結果、「手形行為の署名と印鑑捺印において、印鑑は記名者の名前を表示されるものとして用いられるのが通例だが、印鑑と認められるとしたものが捺印されていれば良い」ということで、所持者への支払いが確定しました。また、手形上の印鑑捺印の意義に対して「手形の記名と印鑑の捺印は、手書きの署名の場合に、その手形行為が記名によって表示された行為者の行為であるか否かの判定であるものとして存在すれば良い」と解説し、裏書きの連続性に欠いてはいないので有効としました。さらに「雅号」などを彫刻した印鑑でも有効としました。しかし、雅号や他の人が使用した印鑑での捺印があった場合、問題が起きた時に、支払いを請求する側で署名した人が行為者としてその印鑑を用いたとしての証明をしなければなりません。記名と関連の薄い印鑑ほど、証明が困難になります。法律的には有効でも、後に面倒が起こりそうな手形は受け取らない方が無難です。

※ あくまで事例としての裁判の結果になります。

※ 裏書きとは
手形を譲渡する際に手形の裏面に署名捺印して、権利を法定の方式によって他人に移転させる行為です。
また手形の振出者が支払い不能(不当たりなど)とされた場合、裏書きをした側にも支払い義務が発生します。

2009年4月20日

手形は印鑑より記名の方が優先する

一般に会社(法人)の代表者が会社(法人)の為に手形の発行をする際には、法人名の表記・代表者の役職を表記・代表者の署名(またはゴム印で名前を押して印鑑の捺印)、が必要になります。
では、約束手形の振出人としてゴム印で「会社名と個人名」が押してあり、その下に会社役職の印鑑が捺印されていた場合、約束手形の振出責任は、会社にあるのでしょうか?個人にあるのでしょうか?この手形は、代表者役職の表記がなく、会社名と個人の名前がゴム印で押してあり、会社役職の印鑑が捺印されていた手形の場合になります。

このような手形の場合、裁判では手形の振出人は、会社にあるとされるようです。手形の「代表者の役職を表記」は法律上では特別のきまりがあるわけではなく、手形上で「法人のために手形を発行する」ことが解るように記載されていればよいという事になります。この場合、会社役職の印鑑が「代表者の役職を表記」であるとされたようです。

では、捺印されていた印鑑が個人の印鑑であった場合は、振出責任は会社にあるのでしょうか?個人にあるのでしょうか?この場合裁判では、手形を所持する人の利益を保護する事から「手形の記載から振出人が個人か法人かいづれとも解釈できるような場合は、法人および代表者個人のどちらに対しても請求ができる」とされたようです。

裁判となると、手続きや裁判にかかる時間などを考えると大変なことになります。会社名の入った手形を受け取る際には、名義、役職名の表示、捺印されている印鑑などを良く注意してから受け取るようにしましょう。

2009年4月17日

約束手形に押す印鑑

約束手形とは、振出人が、受取人またはその指図人もしくは手形所持人に対し、一定の期日に一定の金額を支払うことを約束する有価証券のことになります。
法律でも「約束手形には振出人の署名がなければならない」「署名の中には記名印鑑捺印を含む」とあります。


一般的に見る事のある約束手形は、銀行との約束によって一定の用紙に統一されていますが、「約束手形」という文字、一定の金額を支払うとういう約束事、支払い期日、支払い地、支払いを受ける者の名称、手形振出日、手形振出地が記載されてあり、振出人が署名すると、どんな用紙でも約束手形になります。
この際の署名とは、当たり前ですが自分で自分の名前を書く事を指します。しかし法律では、署名に変えてゴム印で名前を押して、その下に印鑑を捺印しても構わない事になっています。署名を要求する理由は、行為者を証明する事なのですが、日本では慣例として印鑑がその役目を果たしているので、印鑑の捺印することで行為の証明としているようです。

会社の場合、会社の代表者が会社の名前と自分の肩書きと名前を書き、印鑑の捺印をして手形を振り出す事になります。会社の約束手形の印鑑は、実印(代表者印)でも角印(社印)でも構わない事になっています。
しかし、約束手形を受け取り、銀行で取り立てをしてもらう場合に、振り出した会社が銀行との契約の際に約束手形に使う印鑑として、角印(社印)を届け出ていない時は、支払いを断られてしまいます。同じように、法律上は振出人の署名のみで有効となっていますが、銀行に取り立てを依頼した場合、届出印のないものは断られてしまいます。


約束手形と現金は全く違うものです。約束手形の支払い期日に「100日以内に支払う」とあると、最長で100日間は現金化できません。その100日のうちに、振り出した会社が不当たりを出してしまいますと、ただの紙になってしまいます。小切手の場合も同じ事が言えます。
また、約束手形での支払いをされ、領収書の発行を求められた場合に、「領収いたしました」と記入しますと、不当たりがあった場合に、大問題になってしまいます。必ず、「約束手形」の表示をしておき「仮領収書」として発行をする方がよいでしょう。



2009年4月16日

市販の契約書に印鑑を押しても意味はない

何かの契約の際に、市販されている契約書用紙が使用される事があると思います。特に、建物の賃貸借契約で直接貸し主と借り主が契約を行なう場合、市販の契約書用紙を用いることが多いです。市販の契約書用紙には、いろいろな契約についての条件が印刷してあります。貸し主が借り主に署名と印鑑の捺印をしてもらうと契約が成立します。しかし、この市販の契約書に印鑑を捺印してから、あとで問題が出てくる場合が多くあります。


市販の契約書にで問題が起こった例

貸し主(家主)と借り主で、賃貸借契約をする際、契約書に署名と印鑑の捺印をしたのだが、契約書は市販されているもので、条件に「家賃を1ヶ月でも滞納した場合、催告なしに本契約は解除されるものとする」「本契約において様々な問題が起こった場合、裁判所にて審議する事に合意します」と印刷がされてあるものでした。
この内容を分りやすく説明しますと、「家賃を1度でも滞納したら、自動的に出て行ってもらいますよ」、「何かのトラブルがあった場合は裁判所での裁判で決着をつけますよ」ということになります。
しかし、貸し主(家主)は借り主に契約書に印刷してある条件についての説明を何もしませんでした。
そして借り主は数ヶ月の後、家賃を滞納してしまい貸し主(大家)は契約書を盾に、明け渡しの請求を迫りました。そして契約書の内容どおり、裁判所での裁判での決着を求めました。

この場合裁判所では、「内容が過酷であり、契約の際に貸し主(家主)が借り主に対して説明を行なわなかった」ことから明け渡しの請求を無効としました。
あくまで「説明を行なわなかった」ことが前提で、借り主に不利な条件があるらといって、必ず無効になるという事ではありません。

例のように家や部屋などを借りる場合は、賃貸借契約を結び契約書を取り交わします。通常は、貸し主(大家)や不動産屋が用意する市販の契約書に賃借料、借りる期間などを記入して、署名と印鑑の捺印をして済ます事が多いです。市販の契約書を使うと、手間がかからず便利です。しかし、その内容を良く読まずに、印鑑を押していまいトラブルになるという事があります。
市販の契約書に係わらず、何かの契約を行なう際には内容を良く確認して、署名と印鑑の捺印をしましょう。

2009年4月15日

家族が偽造した印鑑での契約は無効

以前、夫に無断で妻が夫の印鑑(実印)で印鑑証明書を取得し、夫の代理人として夫名義の土地を売却した。それを知った夫は取り引きの無効を起こす訴訟を裁判所に申し出た。という話がありました。この場合、裁判所では「土地を買った人は、夫に責任をとらせる事が出来す、売買契約が成立しない」という判決をくだしました。
通常、本人の実印と印鑑証明を持っていれば、代理人としての問題はありません。しかし家族(特に夫婦)の場合は、簡単に本人の代理人として信じるわけには行きません。他人より夫婦の方が信用できないという、特別なケースのお話です。


「土地を買った人」が夫に土地を売る意志があるのかを確認しなかったというポイントがあり、裁判所では契約が無効という判決をだしたようです。
家族(夫婦)の場合、印鑑(実印)の持ち出しや印鑑証明書の取得は簡単に行なうことができます。そのような事情から、家族や夫婦同士の代理人は法的には軽く信用してはいけないという事になります。



2009年4月13日

捨て印の怖さ

よく「捨て印」として印鑑を捺印する欄があります。皆さんはこの「捨て印」というものをしっかりと理解していますか?
捨て印とは、後でまちがいを訂正するための訂正印として必要な物になります。「さしあたり訂正する箇所はないですが、訂正する必要があったときのために、あらかじめ押しておく印鑑」になります。


何かの契約書に署名と印鑑の捺印をする際に、この捨て印を何気なく押しておいたために、あとで知らない間に契約内容を書き換えられてしまうという危険性もあり得ます。捨て印の欄には本人の印鑑が押してあるので、書き換えられた契約書は、本人の意志で作成されたものと見なされてしまいます。

委任状においても、代理人の名前、委任事項を確認して署名と印鑑の捺印を行った場合でも、「捨て印」の欄があり印鑑を捺印してしまうと、委任事項の書き換えられてしまっても、契約書の場合と同じように、本人の印鑑が押してあるので、書き換えられた委任状は、本人の意志で作成されたものと見なされてしまいます。言うなれば、捨て印を捺印した委任状は、白紙委任状と変わらないものになってしまいます。

このように、「とりあえず捨て印の欄にも印鑑を」と言われたので、「たかだが訂正印」と思い何気なく押してしまいがちですが、とんでもない事になる可能性は充分にあります。

捨て印を押した場合、これ以上の訂正箇所がないとしたら、捨て印は消すようにしましょう。「不要な印鑑は押さない」に越した事はありません。

2009年4月10日

白紙委任状の怖さ

「白紙委任状に印鑑を捺印するのは危険だ」ということは、皆さんご存じだと思います。しかし土地の地目変更や売買などの慣れない手続きを第三者(代理人)に依頼した場合に「白紙委任状に印鑑を捺印したばかりに・・・」とか「白紙委任状を信用してあずけたのに・・・」と、後悔したという例は多くあります。
「白紙委任状に印鑑を捺印し、あずける」という行為が危険だとは知りながらも、その行為にどういう意味があるのかを正しく理解していないために起こった事例です。


委任状とは、代理人に何かをしてもらう場合に、代理人が正当な代理権をもっていることを証明するためのに用意するものです。ですので代理人と取り引きする相手側も、委任状をみて信用して手続きを行ないます。委任状には代理人の名前と、委任事項(委任する事の内容)を記入して、委任を依頼する人が署名と印鑑の捺印をする決まりになっています。
白紙委任状とは、場合によって代理人の名前と、委任事項が記入されずに、委任を依頼する人の署名と印鑑の捺印のみがある委任状の事を指します。

以上から「白紙委任状をあずけた」と言う行為は、白紙委任状を受け取った人が「代理人の名前と、委任事項をあとから書き入れる事を承知した」という事になります。白紙委任状を受け取った人が依頼したとおりの内容を書き入れて使う場合には、何も問題はありませんが、依頼した内容と異なる内容を書き込まれ使用され、大きな不利益を受けると事例があります。


良く白紙委任状を悪用される例として
Aさん(あなた)がBさんの土地を買う事を決め、手続きに不慣れなので、代理人Zさんに白紙委任状と印鑑証明書を渡した。
代理人ZさんはAさん(あなた)に無断で白紙委任状に「Aさん(あなた)の買った土地の売却を委任する」と委任事項に書き込み、Bさんから買った土地をCさんに売却してしまい、移転登記も済ませてしまった。売却して受け取ったお金も代理人Zさんが使ってしまった。

この話の場合、Aさん(あなた)が事情を知り、Cさんに「代理人Zさんが白紙委任状を悪用したので土地を売却する気はなかった」と取り引きの無効を申し立てしても、Cさんは「Aさん(あなた)の実印が押してある委任状と印鑑証明書をもつ代理人Zさんを信じた」と主張されると、Cさんに落ち度はありません。「代理人Zさんが白紙委任状に勝手に委任事項を記入した事をCさんが知っていた」場合を除いては、裁判になっても土地を取り戻す事はできません。

このように、信用している人にでも、白紙委任状をあずけるという行為は、非常に危険な行為です。代理人に何かを依頼する時は、委任状に「代理人の名前と、委任事項の記入」をして、内容を良く確認してから、あずけるようにしましょう。



白紙委任状を安心してあずけられるケース

「白紙委任状は危険だ」とお知らせしてきましたが、白紙委任状をあずけなければ用が足りないという例もあります。司法書士や弁護士の先生に代理人を依頼する場合、先生の方から説明があり、委任状の文面を確認してから署名と印鑑の捺印をする事の方が多いようですが、何かの理由により、委任事項の項目に何を記入して良いか分らず、後で司法書士や弁護士の先生に書き入れて頂いた方が誤りがなく円滑に事を運べるような場合、白紙委任状をあずけるといったこともあるようです。
上記のように、何らかの手続き代行を職業として行なっている人(会社)に代理人を依頼する場合は、失職の危険を冒してまで白紙委任状を悪用しすることは、まず考えられませんので、安心してあずける事ができます。

2009年4月 9日

印鑑(実印)の事件・事故を防ぐ為に

印鑑登録は、住民登録をしている役所で行ないます。登録したい印鑑を持参して行き、登録が済んで初めて「実印」と呼べる様になります。役所では、登録申請者が本人であることを確認してから印影を登録します。以前は印鑑登録が済み、印鑑証明書の交付を求めるときには、登録した印鑑を持参する様式でしたが、現在では印鑑登録を済ますと登録番号の記載されている印鑑登録証(印鑑登録カード)が発行され、そのカードを持参すると印鑑証明書の交付が求められるようになりました。
印鑑登録カードを持参するシステムでは、他人にはどの印鑑が実印であるかが分りませんので、以前のシステムに比べ格段に安全性が向上しました。


以前にも紹介しましたが、「実印の印鑑捺印と、印鑑証明書の添付は本人である事の証明」です。

印鑑証明書は、委任状があれば代理人でも交付の申請が可能です。委任状への印鑑は三文判で充分ですので、委任状を偽造して、印影がコピーされている印鑑証明書を取得し、そこから実印を偽造するという犯罪も可能です。こういった犯罪行為は、以前の実印を持参するシステムでは、実印の管理をしっかりしておくと防げたのですが、現在のカードを持参するシステムでは、印鑑登録カードの管理もしっかりとしておかなければなりません。実印と印鑑登録カードは別々に保管して、しっかりと管理しておきましょう。


印鑑登録は、各市区町村の役所によって多少異なりますが、印鑑登録に際しての本人確認は、写真付きの身分証明書(運転免許証・パスポートなど)での確認を行なうなど、慎重に行なわれ、登録する印鑑にも規定を設けています。(参考


実印、印鑑登録カードを紛失した際は、すぐに印鑑の廃止届けを印鑑登録してある役所に提出し、新しい印鑑での登録をし直す事が必要になります。また、引っ越しなどで、他の市区町村へ転出する際は転出前の印鑑登録が無効になります。新しく転入した市区町村の役所で登録をやり直します。新しく別の印鑑で登録をし直す場合は改印の手続きを行ないます。

何度も言いますが、実印はあなたにとってとても重要な印鑑です。事件や事故、犯罪に巻き込まれてからでは遅いです。取り扱いには充分注意して、保管も、捺印も、気をつけて行なって下さい。


2009年4月 8日

会社の実印とは?

会社の実印は代表者印とも呼ばれる印鑑です。会社設立の際、法務局に会社代表者の印鑑として届け出たものです。個人の実印の場合、登録や印鑑証明書の取得などすべての申請は市区町村の役所にて行ないますが、会社代表者の実印(代表者印)の場合、すべての申請は法務局で行ないます。
法人と認められていない場合は、その会社名での登記や、契約ができません。そこで会社は法律で「法人」とする事が決められています。法人登録することによって、様々な契約、登記が会社名で行う事ができます。
通常、会社代表者印は外丸に会社名、内丸に代表者の役職を彫刻します。法律上は「登記の申請書に押印すべき者は、あらかじめその印鑑を登記所に提出しなければならない」「法に規定により、印鑑を登記所に提出した者は、手数料をおさめて印鑑証明書の交付を請求することができる」とあり、印鑑の規定については言及がありません。個人の印鑑の形式で彫刻してある印鑑(姓名、姓、名)での登録も可能です。登記所に届け出た印鑑で印鑑証明を取得できる印鑑が「会社代表者の実印」になります。しかし、個人の実印や銀行印など他の印鑑と見分けを付けるため、また、会社の実印で判断材料にされる事もあるため、通常どおり外丸に会社名、内丸に代表者の役職の形式で作成した方がよいでしょう。

2009年4月 7日

実印と印鑑証明書について

以前にも紹介しましたように、実印とは「役所に印鑑登録してある印鑑」の事を指します。印鑑登録は、本人または本人の委任状を持つ代理人によって行なう規則になっています。その為、実印は「本人であることの証明」として、最も重要視される印鑑になります。 実印での取り引き

不動産の売買、登記
実印での印鑑捺印が必要になります。登記に関しては法律上でも「所有権の登記名義人が登記義務者として登記を申請するときには、その住所地の市町村長または区長の作成したる印鑑の証明書を提出すべし」と規定されています。この場合の登記義務者とは売り主になります。この登記を行なう事によって、所有の権利を失う人を指します。従って、法律上買い主は認印、三文判での登記が可能ですが、売り主は実印での捺印でなければ登記は受け付けてもらえません。
また、売り主が法定代理人や司法書士などの代理人に登記手続きを依頼する場合にも、委任状には本人の実印を捺印しなければなりません。

公正証書の作成
公正証書とは、法律の専門家である公証人が公証人法・民法などの法律に従って作成する公文書です。人違いでない事を証明するために印鑑証明書が必要になり実印での印鑑捺印が必要になります。
文書に押されている印鑑がその人に間違いないと証明された場合、その文書は本人の意志で作られたものと認められます。押されている印鑑が実印の場合には、印鑑証明書の添付などにより証明は容易にできるので、訴訟になった場合でも実印の捺印してある文書は強力な証拠となります。

このように、実印の捺印と印鑑証明書はセットで使用されます。実印の捺印のみ、印鑑証明書の添付のみ、ではトラブルの元となります。実印を押す際には印鑑証明書を添付して、実印を捺印する際には充分注意をして捺印しましょう。

2009年4月 6日

三文判とは何か?

三文判という言葉を辞典で調べると「出来合いの安価な印鑑」と言うような意味で説明されています。辞典の解説どおり文房具店やホームセンター、100円ショップなどで安価に売られている出来合いの印鑑を「三文判」と呼んでいます。この安価な三文判はどこの家庭にも2~3本は存在していて、ちょっとした認印代わりによく使われていると思います。法律的にも《実印での捺印》と指定がない場合の印鑑捺印では、三文判で用が足りてしまう事も多くあります。
「三文判で結構です」という事から、「そこまで重要事ではない」と思いこみ、印鑑を捺印してしまい、重大な損失を負うという話も良く耳にします。
なにかの契約をする際に三文判を押しても契約は契約になります。保証人の欄に三文判を捺印すると保証人の責任を負う事になります。法律的にいっても、三文判だからといって印鑑を押した以上は逃れる事はできません。


取り引きを行なう際に
三文判で良い場合は、その場で取り引きが済み、後に問題が残らない時が多いです。
例としては、商品の現金売買で商品の受領書と金銭の領収書を交換する際などになります。
三文判で問題がおこる場合は、将来的に行なう契約が多いようです。
例としては、○年△月◇日までに返金する。などになります。

将来的に行なう契約の場合に、その内容どおりに行かなかった時に、裁判にかけてでも契約を実行させなくてはいけない。そんなときに契約書に押してある印鑑が三文判の場合は、問題が難しいものになってしまう事が多いようです。
裁判で「契約した覚えがない」と主張された時に、契約書にサインと印鑑の捺印を行なったという証明をしなくてはなりません。この印鑑の捺印が大量生産品の三文判の場合、同じ印影が大量に出回っているので、「勝手に押した印鑑だ」と言われてしまった時に、その事実を証明をするに時間と費用がかかり難しいものになってしまいます。
こういったトラブルに巻き込まれないように、重要な契約をする際には、三文判での捺印を求めずに、印鑑証明書を合わせた実印での捺印を求めましょう。

2009年4月 2日

印鑑の法的責任について

日本では産まれた時の「出生届」に始まり「婚姻届」「死亡届」など役所に提出する届出には、たいてい印鑑の捺印が必要になります。また、銀行預金や郵便貯金に預金通帳を作る際やお金の出し入れ(金額が多い場合)にも印鑑は必要になります。さらに、宅配便を受け取る時、書留を送る時、受け取る時、商品購入の契約時など、印鑑を捺印する機会は数多くあります。
以上のケースは印鑑を捺印した事によって法律的に、意味のあるケースになります。



また、法律的な意味を持たない印鑑の捺印もあります。
様々な通知の書類を閲覧したという確認の印鑑、子供の成績表にも先生、父母が押す印鑑捺印欄があり、現在流行している落款印を書画、絵はがきに捺印すると言う物もあります。


以上のように「印鑑を捺印する」という行為は生活の中に密着しています。「印鑑証明書」を付けて実印を捺印す場合以外では、印鑑を押す事の法律的な意味を考えずに、気軽に印鑑を捺印してしまう方も多いのではないでしょうか?
そのことから、書類の中身を確認せずに印鑑を捺印して後に重大な責任を負ってしまったり、保証人の印鑑を捺印した事によって自分の借金ではないお金を支払うハメになったり、など気軽に捺印した印鑑が大事になるケースも数多くあります。


次回から印鑑を捺印した事でのトラブルを未然に防ぐため、正しい印鑑の知識を配信して行きたいと思います。

2009年4月 1日


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