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建物を購入する際の注意事項

建物を購入する際の注意事項です。登記簿の作成や移転登記には必ず印鑑が必要になります。未登録の建物を買う場合と登録済みの建物を買う場合についての注意事項を紹介します。


① 未登録の建物を買う場合
建物がまったくの未登録で登記簿が作成されていない場合は、買い主が移転登記にかえて、保存登記ができます。
建て売りの住宅では、保存登記の方が移転登記より登録税が安いので、未登録のままにしてある場合もあります。
買い主の立場からすると、所有権者がだれであるか、家屋の構造、面積、その他を証明する物がないので、売り主のいうことが真実かを調べなくてはなりません。また、買い主は表示の登記をした後に、自分を所有者とする所有権保存登記をします。表示の登記に自己または被相続人が所有者として記載されている場合は、所有権保存登記ができます。表示の登記申請には、譲渡証書、建築確認通知書、建築の検査済証を添付する必要がありますので、売り主から取得しておきましょう。

② 登録済みの建物を買う場合
建物の表示登記が済んでいる場合は、所在地、家屋番号、種類、構造、床面積を知ることができますので、購入する建物が一致しているかを確かめます。表示の登記に記載されている所有者が売り主ですので、保存登記を売り主に行なってもらった後に売り主から所有権移転登記をします。

2009年8月28日

土地を買うときの注意事項

建物を建設する目的で土地を購入する際、契約書に印鑑を捺印する前に特に注意をしなければ行けない事項をあげます。


Ⅰ 農地を購入する場合

登記簿上の地目が農地(田・畑・牧野となっている土地)は購入してもすぐに建物を建設することはできません。宅地への転用手続きが必要です。
転用手続きは、売り手買い手の双方が都道府県知事に申請し、転用の許可を得なくてはなりません。また、申請をしたからと言って必ず転用の許可がおりるとは限りません。転用の許可がおりるかや手続きについては、その土地の農業委員会に問い合わせをします。農地の無断転用は、農地法によって無効になり、土地の所有権は取得できなくなります。
土地の売買契約書にも「売り手が転用許可申請への協力をしない場合は契約解除ができる」という事項を入れておくとよいでしょう。


Ⅱ 分譲地を購入する場合

土地の権利関係については造成会社が所有権者ではなく、地主が所有権者のままということもありますので、所有権移転登記がすぐにできるか、分筆(一箇所の土地をいくつかの土地に分割して法的に登記すること)が済んでいるか、などを図面などで確認します。
また、造形工事・電気・ガス・水道・道路などの施設関係の工事についても調査をします。造形工事は、宅地造成等規制法、宅地造成事業に関する法律により規制されています。道路については建築基準法で「建物の敷地は道路に2m以上接していなくてはならない」という規定があります。電気・ガス・水道については、実際に使用可能かを電気会社、ガス会社、水道局に確認しておきましょう。

2009年8月26日

不動産売買のトラブルを防ぐ

土地や家を買うという事は、一生に何度もある事ではありません。土地や家を購入するために、退職金を当てにしたり、長期にわたってのローンを利用したりします。ですので、不動産の売買契約書に印鑑を捺印するまでに、念入りに事前の調査をしっかりとする必要があります。印鑑を捺印してしまってから「調査不足で話が違った」といって、トラブルに巻き込まれる前に、調べるべき事柄がいくつかあります。


Ⅰ 売り主が物件の所有者であるか
売り主と称する人が、常に本当の所有者であるとはかぎりません。もし本当の所有者ではない人から購入しても、所有権を取得することはできませんので、十分に調査が必要です。
そのために、売り主に最新の登記簿謄本を持参させます。登記簿謄本の最終ぺージに記載されている日付が古いものであれば、その後に所有者が変わっている可能性もあります。
登記簿謄本は、その物件がある場所を担当している法務局の支局や出張所に行き、一定の手数料を支払えば誰でも閲覧したり、謄本を取得したりすることができます。所有者が誰であるか判断でき、売り主がその物件の所有者であるか判断ができます。
登記簿は、真実の権利関係をあらわしているべきものですが、実際はそうでない場合も多くありますので、登記簿のみを信用するのは危険です。登記簿にはその物件の取得原因が記載されていますので、疑問がある場合は、以前の持ち主に聞いてみるなど、実態を把握する必要があります。
売り主は通常、その物件の権利証をみせるものですが、権利証は、物件の登記済権利証として発行されるものですので、その後の所有権については何も記載がなく、権利証のみで所有者と判断するのは危険です。

Ⅱ 登記簿上の表示と現状が一致しているか
登記簿上の表示と現状が一致しているかを調べるためには、現場にいってみることです。
登記簿の表題部というところには、
土地の場合、所在・地番・地目・地積が記載されています。
建物の場合、所在・家屋番号・種類・構造・床面積が記載されています。
建物の種類や構造は現場にいけばわかりますが、地目(山林・田・畑・宅地などの区別)が宅地のように見えても、登記簿上は畑ということもありますので注意が必要です。
面積も、実際と登記簿上では異なる場合もありますので、土地家屋調査士の作成した実測図を持ってきてもらうようにします。地番や家屋番号については、公図や建物所在図で確認します。
また、地形や近隣との関係については、登記簿や図面では分りませんので、現場にいって確かめるべきです。

Ⅲ 不動産利用を妨げたり、利用に必要な権利関係の有無を調べる
家を建てるつもりで購入した土地に借地権がついていたり、抵当権がついていたりすると、土地は十分に利用できなくなります。これらのことは、登記簿の乙区というところに記載されてあります。
その他に、土地が公道に面していないときの通路使用権の有無も重要です。こういった事項を売り主や近隣に住んでいる人に聞いたりして確かめておきます。

Ⅳ 土地計画法、建築基準法などの制限との関係
土地の場合は、土地計画法・建築基準法などの制限を調べておかないと、予定していた建物が建設できなかったり、道路用地に指定されていたりということが起きることもあります。
周囲が空き地の場合も、近隣にはどのような建物が建つ予定があるかなども、土地計画法・建築基準法を検討し予想します。建物の場合は建築基準法にあっているか調べます。これらは、不動産所在地の役所建築課に問い合わせれば確認することができます。

不動産の売買契約書に印鑑の捺印をした後に、トラブルにならないように、契約書に印鑑を捺印する前に、色々な方面からその物件に対して調査を行ないましょう。

2009年8月24日

会社の借金は5年で時効 印鑑を押す時の用心

会社の借金について、例を挙げてお話しいたします。
○○株式会社の社長を7年前まで務めていたAさんは、社長在任時に会社がお金を借りる際の借用書に、署名と印鑑捺印をして連帯保証人になっていました。Aさんが退職した後、○○株式会社は倒産してしましました。
ある日、会社を退職して隠居生活をしていたAさんに「○○株式会社にお金を貸していた」というBさんが訪ねてきました。Bさんの要求は「Aさんは○○株式会社が借金をしたときの連帯保証人なので、会社が無くなった今、連帯保証人の責任で、借金を肩代わりして欲しい。いま全額支払いきれないのであれば、残りはいつ払うか念書を書いて欲しい。」と言うものでした。
この場合、Aさんは、連帯保証人の責任で、以前社長を務めていた会社の借金を肩代わりしなければいけないのでしょうか?


・Bさんの要求はもっともなので、連帯保証人の責任上支払わなくてはいけないのだろうか?
・会社で借金した金額を個人で支払らえるのだろうか?
・Aさん以外の連帯保証人の責任はどうなるのだろうか?
など思い悩んだ末に、Aさんは弁護士事務所に相談しました。

弁護士の見解は、
会社の借金は商事債務というものなので、債権者のほうで5年間放っておくと、法律上とりたてができなくなります。Aさんが社長をしていたのは7年前ですので、会社の借金返済の義務はなくなります。
連帯保証人は本人(この場合○○株式会社)に借金返済の義務がなくなった以上、連帯保証人としての責任も負わなくて済みます。しかし、時効によって無くなった借金もAさんが相手(Bさん)に時効を主張しませんと、時効の権利を放棄した事になり、借金はそのまま残ってしまいます。少額のお金を支払ったり、念書を書いたりしてしまうと、時効の権利を放棄した事になりますので、注意が必要です。
と言うのもでした。

Aさんが念書を書いて、印鑑を押してしまったら、法律上でも立場が逆転してしまいます。
また、債権者のほうでも、5年も取り立てを放っておくという事は、まず有り得ないでしょう。

トラブルが起きたときは、より慎重に対応策を検討するべきだ、という一例です。


2009年8月21日

借地上の建物を担保に入れるとき

「賃借人は賃貸人の承諾がなければ、賃借権を人にゆずったり、借りているものを又貸ししたりはできない。賃借人がこれに違反した場合は賃貸人は契約を解除できる」

物品の貸し借りであっても、他人から借りている物を、貸し主の了解を得ずに勝手に、第三者に貸したり(又貸し)、処分できない事は知っていると思います。これが不動産の貸借問題になると話が複雑になってきます。


通常、土地を借り、家を建て、借家人に住ますことは、借地人にとっては借地権を放棄する事にはなりませんので、何も問題はありません。
しかし、その家を第三者に売却する場合は、あきらかに借地権の譲渡になりますので、地主の承諾が必要になります。その場合、地主は新たな借地人に対して、相当多額の名義書替料を請求するのが実情です。新たな借地人が名義書替料の支払いを拒むときは、地主側では借地権の譲渡を断るでしょう。どうしても家を売却したい事情があれば、名義書替料を前の借地人が、地主に支払うことになります。
また、銀行などから融資を受ける場合などには、建物を担保として抵当に入れても借地権の処分禁止違反にはなりません。借金が返済できなくなり、担保権が行使されるようになったとき、はじめて借地権の無断譲渡になります。

2009年8月18日

借家契約上の念書の効力

借家契約のなかで、トラブルになりやすいのが、契約期間が満了したときの明け渡しの問題です。
借家契約書に署名と印鑑の捺印をして契約をするのですが、通常に市販されている借家契約書には、家を借りる人にとって、不利な特約が書かれています。しかし、その不利な特約はほとんど効力を持たないことが多くあります。
「借家料金の支払いが一度でも遅れた場合は、契約を解除する」と言うような特約は、法律的にはまったくといって良いほど無効になります。
賃貸契約書以外に「○年△月◇日で明け渡す」という念書を取り交わしていた場合はどうなるのでしょうか?


借家契約の明け渡しについて、署名や印鑑の捺印をして念書を取り交わす場合は、大きくふたつに分ける事ができます。
◆家主側に正当な理由がある場合
家主が借家をつかう必要が生じた、借家が老朽化して建て替えを行なう、などの事情がある場合
◆家主側に特別な理由がない場合
家主から契約期限がきたので、催促され念書を書いてしまったという場合

念書とは、書いた本人の約束を記したものですので、通常は念書の内容通り実行しなければなりませんが、書いた本人の意志が変り、念書の内容が守れないときに、強制的に念書の内容を実行できるかには問題があります。この場合の「強制的」というのは、暴力行為での立ち退きではなく、裁判所へかけ合い念書の内容を実行させるという事です。裁判所では家主に正当な理由がある場合は念書の効力を認めるでしょうが、正当な理由が無い場合は効力をなかなか認めてくれないでしょう。

家主側はどうしたら借家人に明け渡しの念書を実行できるのでしょうか?
当事者同士では解決ができない場合は、弁護士などに相談するようになりますが、家主側の明け渡し条件に金銭的な条件(立ち退きに対する補償金など)を加えて、念書を書いてもらうようにするのが一般的です。

このような借家に対するトラブルでは、念書のみで済ませることはほとんどなく、和解契約書を作成して、和解金の額面や、支払い条件(例:和解契約した時点で半額、明け渡しの時点で残金)、明け渡しまでの借家料金、など当事者または代理人で条件を話し合い、双方が署名と印鑑の捺印をしておきます。

トラブルの内容が複雑なときは、念書一枚で解決にはならない場合が多いです。

2009年8月10日

借金より高い担保をとられてしまう

借金をする際に、不動産や物品を担保に入れて融資を受けることがあります。
これを代物弁済予約といいます。
代物弁済契約を結び、契約書に署名と印鑑の捺印をおこないます。



代物弁済とは「借金が期限までに返済できない場合は、物(土地や物品など)を譲渡する事で借金を無かった事にする」という制度です。100万円の借金をす る際、高級腕時計を担保にしてお金を貸してもらい、期限までに返済できない場合は、その高級腕時計を渡して借金を無かった事にする、というものです。
この場合、担保にする物は100万円の価値を持っている物でないとダメというわけではありません。何千万円という価値を持つ土地でも、50万円ほどの価値の壺でも、相手がその物品で了承してくれるのであれば、何でも問題はありません。

また譲渡対象の物品(不動産等)が本来の債権額と比べて金額があまりに上回る場合、差額分の精算しないと暴利行為として無効になったり、税務上贈与とみなされる可能性もありますので注意が必要です。

契約の際には契約書の条項にも良く注意してから署名と印鑑の捺印を行ないましょう

2009年8月 5日

未成年の息子が契約したが取消をしたい。

「未成年者が、法定代理人(親権者)の同意を得ないで行なった法律行為は取り消す事ができる」



Aさんのところに自動車のセールスマンが車を届けにきて、「車の代金を支払ってください」と言ってきました。Aさんは自分で車の購入をした覚えがないので、話を聞いてみると、息子のBさんが勝手に購入の契約をしていて、契約書には息子Bの署名と印鑑の捺印がしてありました。
このような場合、民法では、未成年者は単独で完全に有効な契約など結べない事になっています。法定代理人(親権者)の同意が必要になります。
たいていの場合、親権者は両親です。父親か母親の同意がなければ、契約は取り消すことができます。
例のような場合、Aさんは息子Bが勝手にした自動車購入の契約を取り消す事ができます。

未成年者であっても、既婚者の場合や、本人が成人していると相手をだまして契約した場合は、親権者でも取り消す事はできません。

2009年8月 3日


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