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思い違いの契約を解除したい

「意思表示は、その重要な部分に錯誤(事実とそれに対する人の認識が一致しないこと)がある場合は無効である。ただし、その意思表示をした者に重大な過失があるときは、みずから無効だと主張できなくなる」


例としては
・Aという土地を購入したつもりが、契約書の内容はBというまったく別の土地を購入した事になっていた。
・購入してない商品の代金請求が届き、購入したと勘違いして、代金支払いの念書を書いてしまった。
・上下水道などの施設が整備されていると信じて購入した土地が、全く建設に不適当な土地だった

署名と印鑑の捺印をして、契約書を取り交わしてた後に、上記の様な事柄があった場合は、契約の取消請求をしなくても、その契約は無効になります。
しかし、将来その土地に高速道路を建設するというような情報から土地の高騰を見込み、土地を購入したのだが、間違った情報であった。
こういった場合の土地売買契約は無効にはなりません。思い違いの内容によっても契約は無効にも有効にもなります。

思い違いや勘違いで契約書に印鑑を押してしまう、という行為は褒められた行為ではありません。契約をする前に契約の内容を確認してから印鑑を捺印するように心がけましょう。

2009年7月29日

だまされて契約書に印鑑を捺印したので取り消したい

「だまされて行なった意思表示は取り消す事ができる。ただし、善意の第三者にたいしては、その意思表示を取り消したといっても効力がない」


相手を信用して売買契約書に署名と印鑑を捺印し、商品を納品したのだが、買い手ははじめから代金を支払うつもりはなく(詐欺行為)、その商品を違う相手(善意の第三者)に転売してしまい、逃げてしまった。
このような場合、だまされたと気がついてから「商品売買は無効なので、商品を返却して欲しい」と転売された善意の第三者に申し立ててみても、効力はなく、商品は返ってきません。
だました相手の手元に商品がないかぎりは、返してはもらえません。

強迫されて契約書に印鑑を捺印してしまった場合は、自分自身が恐ろしい体験をしているので、自分にとって不利な契約を無理矢理させられている事は理解できるのですが、だまされて契約書に印鑑を捺印してしまった場合は、自分がだまされている事に気づかずに契約を進めているので防ぎようがありません。

何度も繰り返してお知らせしますが、特に重要な契約書に印鑑を捺印する際は、慎重に契約内容を確認して、相手方が信用できるのかを確認してからおこないましょう。

2009年7月21日

強迫されて行なってしまった契約を解除する

「強迫されてした意思表示は取り消す事ができる」

昼夜を関係なく、家に押しかけ
「契約書に署名と印鑑を捺印をしないと家族に危害を・・・」
などと脅しをかけられ、無理矢理に作られてしまった契約書は解除ができます。



このように脅しをかけられ、契約書に署名と印鑑の捺印を迫られた時には、すぐにでも警察に通報するのが一番なのですが、脅しをかけられている最中に警察に通報するのはむずかしいです。
このような時は、危険がさってから、すぐに警察に被害届を提出するのがよいでしょう。

強迫されて署名、印鑑捺印した契約書や念書などは取り消せば効力がなくなりますが、もし裁判という事になった場合に、被害届を提出した事が、強迫を立証する重要な証拠となります。

2009年7月13日

期間に間に合いそうにもないので契約を解除したい

「当事者の一方が、その債務を履行しないときは、相手側は相当の期間内に履行するよう催告して、それでも履行されない時にはじめて契約を解除できる」
「催告をしないでも解除できるという特約がある場合は、催告をする必要はない」
「契約の性質上、ある一定の日時または期間内に履行しなければいみがなくなる場合に、その日時を経過しても履行されない場合は、催告をしないでも契約を解除できる」
「債務の全部または一部が債務者の責任で履行不能となったときは、期日がこなくても契約を解除することができる」



店名入りのカレンダーを注文しましたが、発注した印刷会社で年内に間に合いそうになく、注文を取り消して年内に間に合う印刷会社に注文をし直しする。といったような場合になります。
この場合、注文者の都合で注文の取り消すのであれば、前回お伝えしましたように、注文者は印刷会社に損害を賠償しなければならなくなりますが、注文の依頼をする際に「カレンダーなので○○日までに作成して欲しい」という条件を伝えているにもかかわらず、期日に間に合わないと言う事になれば、印刷会社の損害を賠償する必要はなくなります。
通常は、期日を指定して注文した場合、その期日に仕上げられないときに、はじめて契約を解除できるのですが、最初からその期日に間に合いそうにもない事がはっきりしていれば、期日がこなくても解除することができます。
家の新築を依頼した場合も、大工さんが仕事に取りかからずに、期日までに家の建設ができない事が明らかな場合も、同様に契約を解除することができます。

ココで注意したいことがあり、「期日までに完成できるかどうか」の判断はとてもむずかしいことです。あまりに早く契約を解除してしまうと「履行不能」による解除ではなく、「注文者の都合」での解除とされ、請負者の損害を賠償しなければならなくなってきます。
「履行不能」による解除と、「注文者の都合」での解除では結果がまったく違ってきますので注意が必要です。

2009年7月 8日

新築工事の契約を解除したいとき

「請負人が仕事を完成しないあいだは、注文者はいつでも損害を賠償して契約を解除することができます」
家の新築工事を依頼する場合は、署名と印鑑の捺印をして、かならず「工事請負契約書」を作成します。

ところが、工事をはじめてもらったが、急に資金ぐりが苦しくなった等の理由によって工事を中止したい。契約書には印鑑を捺印してしまったし、工務店でも材木を切り出ししてしまっている。注文者の一方的な都合で契約を解除できるのでしょうか?


工事の請負契約書のように、請負人のほうで、ある一定の仕事を完成することを約束する契約の場合、注文者は原則としていつでも契約を解除することができます。契約を解除する際には、請負人の方で仕入れした材料や人員の手配などの損害は、注文者が賠償しなければなりません。

「工事請負契約書」を解除する際に良く問題になるのが、どの程度の賠償をしたらよいかと言う事です。工事の進行程度、材料の転売が可能か、どの程度の純益を見込んでいたか、などを計算し損害額を出すことになります。
このように「工事請負契約書」を解除にはトラブルが多く発生しやすいのですが、家の新築請負工事などのように建設請負工事に関してのトラブルが発生した場合、都道府県の建築課に相談をするとよいでしょう。

また「工事請負契約書」には「この契約について争い(トラブル)が発生した場合は、中央建設紛争審査会、または都道府県建設紛争審査会の仲裁判断に付する事を双方同意する」のような明記がされている場合が多いです。
この表記がありますと、裁判所で訴訟を起こそうとしても、請求却下(紛争の内容について判断をしない)されてしまいます。

2009年7月 3日

贈与の約束を取り消したいとき

「書面によらない贈与は、その履行が進まない限り、取り消す事ができる。贈与するという契約書を作成すると取り消しができない」
一度、物品をあげると約束してしまったら、原則として約束した時点で、もらった人のものになります。



「所有権はその意思表示のときに移転する」という原則があり、なんらかの条件をつけていないかぎりは、そのまま所有権の移転が認められます。しかし、口頭での約束の場合、約束のあとで取り消しができてしまいます。贈与しようとした人が「気が変わった」という理由でも贈与取り引きの取り消しができてしまいます。先に挙げたとおり、署名と印鑑の捺印を終え契約書を書面で作成した場合は、贈与取り引きの取り消しはできなくなってしまいます。
贈与契約書に署名と印鑑の捺印をする際は、後悔しないことを十分に確かめてからおこないましょう。

2009年7月 1日


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