土地売買は登記簿のみでは信用できません

マイホームを建設する際、土地と家屋の購入をしなければなりません。しかし、両方を一度に購入するのは容易ではなく、家屋の建設は後回しにて、まずは土地の購入をしておくという方もいらっしゃると思います。ところが、土地の売買契約書に印鑑を捺印し、代金を支払った後で売り主の土地ではなかったという詐欺事件があります。



土地を買うという行為はとても大きな買い物です。買い主側でも、購入前に土地について調査をしてから売買契約書に印鑑の捺印をしているはずです。売り主側の言葉のみを信用して印鑑を捺印するということは、まず考えられません。
土地の所有権は、本当の土地権利者から譲り受けて初めて買い主の物になります。売買契約書に印鑑を捺印してしまってからでは、その契約書が詐欺のもと主張してみても認められません。

こういった詐欺行為が起こる原因として、契約時に登記簿のみを信頼し、印鑑を捺印したために起こる事が多いようです。
登記簿は、実際の権利関係を可能な限り忠実に反映するのが建前ですが、現実にそうなっていない場合があります。登記簿上の所有権者が本当の所有者では無い事がまれにあります。
ですので、「登記簿の記載を信用し売買契約書に捺印をした」と主張しても、買い主の権利は保護されません。


印鑑は最後まで捺印しない

土地の売り主=所有者ではないという場合、2つのケースが考えられます。
  Ⅰ 登記簿上でも実際にも売り主が所有者でない場合
  Ⅱ 売り主は登記簿上の所有者だが、実際の所有者では無かった場合
があります。

Ⅰの場合
土地の売買詐欺にあい、他人の土地を買わされてしまった場合、売り主Aが登記簿上の実際の所有者Bをよそおい、実際の所有者Bの印鑑や権利証を偽造して、買い主Cに売ったというような場合になります。
この場合の売り主Aは、土地を売る権利はなくその土地に対する権利は何も持ってはいませんので、買い主Cは土地の所有権を取得できません。しかし、売り主Aが、実際の所有者Bの代理人と称して、所有者Bの印鑑や権利証を買い主Cに見せて売買契約をした場合、買い主Cは所有者Bに対して売り主としての責任を追及でき、所有者Bは売ってないと主張する事はできません。

Ⅱの場合
Aが所有者として登記されて、実際にもAが自分の土地として使用していて、その土地を買い主Cが購入したが、本当の土地所有者はAではなくBだったという場合で、この場合、本当の土地所有者Bは買い主Cを一概に避難することはできず、登記簿と本来の権利関係が不一致をきたした理由により、CとBの所有権が決定します。

このように土地売買でのトラブルは予期せぬところから起こりがちです。登記簿のみを信用して契約書に印鑑を捺印してしまうのは、危険なことが多いです。ですので、土地売買契約書に印鑑を捺印する前に、登記簿の記載が実際の権利関係を反映しているのかを可能な限り調査してから印鑑を捺印することをおすすめ致します。

土地を購入するという事は、一生のうちで何度もあることではありません。印鑑を捺印するのは、最後の最後で問題ないと覚えておくと、トラブルや詐欺にあうこともそうないでしょう。


日時:2009年5月 8日 13:06


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