ニセの婚姻届でも受理されます

婚姻は民法によって
「婚姻が成立するためには、当事者の婚姻する意思がなければならない」
「婚姻は届け出によって成立する」
とあります。
婚姻する当事者に「婚姻の意思」があり「婚姻届」を役所に提出すれば、正式に結婚となります。婚姻届に捺印する印鑑は、婚姻する当事者ふたりの「意思の確認」という重要な意味を持っています


以前にも説明しましたが、婚姻届の手続きは簡単です。(参考
役場にそなえつけてある「婚姻届用紙」に必要事項を記入して、婚姻する当事者2名の署名と印鑑の捺印、保証人2名の署名と印鑑の捺印があれば受理され、届け出は本人でなくてもよい事になっています。届け出を受け付けする役所の戸籍係は、法律に定められた婚姻適齢の男性満18歳以上、女性満16歳以上か、女性については満6ヶ月の再婚禁止期間を過ぎているか、すでに法律上結婚していないか、などは調べますが、「当事者に婚姻の意思があるのか?」などの確認をおこなう事はなく自動的に婚姻届を受理してしまいます。

この制度には、なんら問題点はないようですが、実は大きな問題点があります。「当事者にとって、婚姻の意思確認という重大な意味を持つ印鑑が役所では形式的なものにすぎない」という問題です。しかも婚姻届に捺印する印鑑は、市販さえている三文判でもまったく問題なく受理されます。となりますと、相手側の住所、本籍地など婚姻届に必要なの情報さえ解れば、誰にでも婚姻届は提出できるという事になり「知らないうちに結婚していた」という可能性も十分に有り得ます。

現在このような事件を防ぐ手だてはありません。しかも、一度受理されてしまった婚姻届は、当事者、片方、双方の同意がなくニセモノであったとしても戸籍に「婚姻」の記載がされてしまうと、取消には面倒な手続きをとらなくてはなりません。



ニセの婚姻届けでも簡単に離婚はできません

知らないうちに他人と結婚させられていた場合、訂正する手続きがあります。

Ⅰ、家庭裁判所に「婚姻無効」の調停を申し立てます。この調停で、ニセの婚姻届を出した相手が無効を認め、無効の原因について争いがなければ無効になります。

Ⅱ、Ⅰの調停が上手くいかなかった場合はニセノ婚姻届を提出された「被害者」は、無断で提出した「加害者」を被告とした婚姻無効の確認の訴えを地方裁判所に対して起こさなければなりません。

※ Ⅱの場合、加害者側が控訴・上告をして争ってくる事もあります。そうなりますと、裁判には時間がかかり、被害者は長い年月を失うことになります。また、ニセの婚姻届でも、それが戸籍上に記載されている以上は、重婚になるため、正式な婚姻届は受理されません。

Ⅰで決着がついた場合「審判書謄本」を、Ⅱで決着がついた場合は「判決謄本」をそえて役所の戸籍係に訂正を申し出れば、戸籍簿から婚姻の記載が消されることになります。

※ ニセの婚姻届でも3ヶ月の間、何もせずに放っておくと、正式な婚姻として有効とされてしまいます。




日時:2009年4月27日 13:29


Copyright(C) 2009 KOHODO.COM. 印鑑の光宝堂 All Rights Reserved.