社長の印鑑ある手形は会社の責任

手形が偽造された場合、被偽造者(偽造された側)は手形上の責任をおうものではない。たとえば、会社内で手形の振り出しの権限のない人が勝手に代表取締役の印鑑を捺印して、会社の名義で手形を振りだした場合、会社は手形上の責任を負わない事になります。
しかし、会社は何の責任も負わなくて済む訳ではありません。民法に「会社は被用者(会社が雇用している人)が実務の執行につき、第三者にくわえた損害を賠償すべきである」という規定があり偽造された手形でも責任を負わされることもあります。


たとえば、ある会社のAさんは会社内で手形を振り出す権利はなく、会社の印鑑を出し入れできる権利は持っていました。手形を振り出す際には社長の命を受けてAさんが手形を作成して社長に提出して、社長が会社の印鑑を捺印して振り出す。とういシステムで手形の振り出しを行なっていました。
Aさんが、社長の了承なしに手形を偽造してしまった事例の場合、「Aさんは本来、手形振出の権利はなく、その職務を逸脱して手形を偽造し、振り出ししてしまったが、手形の振り出しはAさんの職務権限内の行為と深い関係にある為、手形の受取人はその行為が偽造であったかを確認することはむずかしいので、会社は手形の受取人に対して民法上の理由から責任を負わなければならない」とされたようです。

被用者(会社が雇用している人)が手形の偽造をした場合は、つねに会社が責任を負うという事ではありませんが、手形の振り出し行為と関連性が深い人が行なった手形の偽造は会社の責任とされる場合もあります。
手形振り出しの権利、会社印鑑の使用権利は信頼できる一部の社員にのみ与える方がよいでしょう。

日時:2009年4月21日 11:18


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