手形は署名と印影が一致しなくても有効

手形では「署名」と「印鑑の印影」が同じでなくても有効とされます。印鑑は行為者の印鑑として用いられたものとして捺印してあれば良いという事になります。


手形の裏書きに記名されてあった名前と、捺印されてあった印鑑の名前が違ったという事例がありました。満期になり支払場所の銀行に提示すると、「裏書人の名前と印鑑が違うので、誰の記名、印鑑捺印かわからない」ということで、支払いを拒否されてしまいました。その手形は裏書きの連続性に欠くという理由から支払いが拒否されてしまったようです。

その手形の所持者が訴訟を行なった結果、「手形行為の署名と印鑑捺印において、印鑑は記名者の名前を表示されるものとして用いられるのが通例だが、印鑑と認められるとしたものが捺印されていれば良い」ということで、所持者への支払いが確定しました。また、手形上の印鑑捺印の意義に対して「手形の記名と印鑑の捺印は、手書きの署名の場合に、その手形行為が記名によって表示された行為者の行為であるか否かの判定であるものとして存在すれば良い」と解説し、裏書きの連続性に欠いてはいないので有効としました。さらに「雅号」などを彫刻した印鑑でも有効としました。しかし、雅号や他の人が使用した印鑑での捺印があった場合、問題が起きた時に、支払いを請求する側で署名した人が行為者としてその印鑑を用いたとしての証明をしなければなりません。記名と関連の薄い印鑑ほど、証明が困難になります。法律的には有効でも、後に面倒が起こりそうな手形は受け取らない方が無難です。

※ あくまで事例としての裁判の結果になります。

※ 裏書きとは
手形を譲渡する際に手形の裏面に署名捺印して、権利を法定の方式によって他人に移転させる行為です。
また手形の振出者が支払い不能(不当たりなど)とされた場合、裏書きをした側にも支払い義務が発生します。

日時:2009年4月20日 11:08


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